“○×さんの元気の秘訣はこのサプリ”“女優の△□さんはこれでスッキリやせた!”――。テレビや雑誌が盛んに宣伝するサプリメント。思わず手を出したくなるが、なかには原材料が中国人の人毛だったり、99.9%が添加物の怪しいサプリも少なくない。そのため、必要なサプリを正しく取れずに、不健康になるケースも。
そこで、医療機関向けサプリメントのメーカー代表で「サプリメントの正体」(東洋経済新報社)を上梓した、田村忠司氏にサプリメントの正しい取り方を聞いた。
「加工食品を頻繁に口にする現代人の多くは炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素は十分でも、ビタミンやミネラルが不足する新型栄養失調。それが原因で病気になったり体調不良を起こしたり、起こしかかっている人にとって、サプリメントは便利なツールといえます。ただし、不誠実な製品が蔓延(まんえん)している現状を考えると、その選択はしっかり行う必要があります」
理想は栄養療法に精通した医師に相談しサプリを選ぶことだ。だが、そういう医師を見つけること自体が難しい。
ならば、まずは誰にも必要な栄養素の補給を目的とするマルチビタミン&ミネラルを選ぶことだ。
「ビタミンやマグネシウム、亜鉛などのミネラルは欠乏がないように補給すべきです。とくにビタミンCは“副腎”“免疫細胞”“目”“脳”などで大量に必要とされながら、体内でつくることができない物質です。これを多く含む野菜や果物を積極的に摂取することが大切ですが、それが無理ならサプリで補うのも手です。日本人女性は、ビタミンD、鉄分なども不足しがちです」
ただし、“○×に効果的”と宣伝している、特殊機能を持つサプリは、医師など専門家と相談しない限り手を出さない方がいいという。
「特殊な機能を求めるなら薬の方がはるかに安全・確実で値段も安い。無理にサプリで取る必要はありません」
そもそも、現在売られているサプリメントには怪しいものも多い。
「日本国内には4000~6000程度のサプリメントの工場がありますが、GMPといわれる医薬品に準じた生産管理をしているのは3%程度。しかも、サプリは栄養素以外に保存料、甘味料などの添加物が含まれているものが多く、結果、それを処理する肝臓を疲弊させ、アレルギーを発症させるケースもあります」
ではサプリはどこで買うのがいいのか?
「一般には、自分の症状を伝え、薬剤師さんから買うことがお勧めです。薬を飲んでいる人はサプリによって薬効が強く出たり、弱くなったりすることもあるからです。ビタミンやミネラルはサプリメントの他に第○類医薬品として販売されているものがあり、性能や品質はサプリよりも上です」
テレビ通販で買うのは勧められないという。売り上げの8割はテレビ局や制作会社に取られ、少ない原価でサプリをつくるケースもあるからだ。
「しかも、原材料や栄養素・添加物の配合量の記載があるパッケージのチェックもできません」
サプリは薬ではないので、薬事法の規定で“こういう飲み方をして下さい”とパッケージには記載できない。どのように飲めば効率的なのか?
「ほとんどの場合は食事と一緒に取るのがベストです。例えば、ビタミンAやEは脂溶性なので油物の食べ物と一緒に取る方がいいし、水溶性のビタミンBやCは汗や尿に溶けて体外に出るので、こまめに取る方がいい。ただし、カルシウムやマグネシウムは胃液を中和して消化を悪くする可能性があります。大量摂取するときは食事と別に取るのがお勧めです」
最後に、サプリにお金をかける前に、歯や胃や腸を治しておくこと。せっかくの栄養素も体内に吸収できなければ何にもならない。