数多くのヒット作を手がけた宮崎駿監督(72)が狭心症だという。一部報道によれば、「散歩の途中に胸が痛くなる」ほど重症らしい。狭心症は心筋梗塞を引き起こすため恐れられているが、最近では低年齢化が進んでいる。
東京都健康長寿医療センター高血圧外来・桑島巌顧問が言う。
「厚労省の患者調査によると、狭心症と心筋梗塞を含めた虚血性心疾患の男性患者は60代、70代がメーンですが、最近は40代や50代が目立ちます」
働き盛りに増えているのは、最近のサラリーマンの働き方と密接に結びついているからだという。
では、どういう働き方が心臓の負担を高める要因となるのか。
IT関係の工藤さん(43)が急性心筋梗塞で倒れたのは3年前だった。
クライアント先の決済システム作りがヤマ場を迎えていて、毎晩のようにタクシー帰りで、睡眠は4時間ほど。
「毎日毎日、半日以上もパソコンに向き合っているため、首から肩にかけてパンパン。いつも眼精疲労があり、それが悪化すると、頭痛もしましたが、疲れた体で仕事をしていれば誰にでもある。休日の寝ダメで楽になったから、気にしませんでした」(工藤さん)
<対人関係が苦手な人ほど危うい>
発症3日前、システムに不具合が見つかり、すぐ修正作業に取りかかった。2日間、2時間睡眠で作業を続け、トラブルは解決した。その翌日、事情を説明にクライアントの事務所へ。工藤さん、実は人とのやりとりが苦手なタイプだ。
「何とか謝罪と説明を終え、正直ホッとして家に帰る途中、点滅する信号を渡ろうとダッシュしたら、突然、胸がかきむしられるような痛みに襲われました」(工藤さん)
前出の桑島顧問がこう言う。
「急性心筋梗塞のベースにあるのは、睡眠不足と炭水化物中心の偏食ですが、これにトラブル処理が加わり、ストレスが急上昇した。クレーム処理が終わればホッと一息ですが、実はこの間の血圧の乱高下がいけません」
日ごろ、パソコン相手の工藤さんが、苦手な人を相手にしたことでストレスの限度を超えてしまったようだ。
「デスクワークに関する意識調査」(ネオマーケティング)によると、長時間のデスクワークで「イライラ」「疲労」を感じる割合は、営業職の50代が58%なのに対し、システムエンジアは76%と圧倒的に多かった。デスクワークが1日6時間以上になると、疲労を感じる割合は一気に高まる。そして、日本企業の46%(男性45%、女性51%)がデスクワーク中心の働き方だ。
1日6時間以上、パソコンなどOA機器の前にへばりついている人は気を付けたほうがいい。