放置で目まいや吐き気、うつ病も…「眼精疲労」は健康保険で治せる

 目の疲れや乾き、ツライ首や肩凝り……。眼精疲労は記者の職業病と諦めていたら、実は保険が利く立派な病気らしい。しかも、放置すると、目まいや吐き気、うつ病の心配もあるというからご用心。早速、「眼精疲労専門外来」を受診した。

<PCやスマホが原因>

 東急東横線・大倉山駅から徒歩2分の「かとう眼科」。7年前から専門外来とケア施設を併設して、眼精疲労の治療に力を入れている。
「PC、携帯、スマホ、レーシックなどの影響で、眼精疲労を訴える患者さんが増えています」(加藤利博院長)

 カギを握るのは、物を見るときにピントを調整する毛様体筋という小さな筋肉。PCやスマホを、至近距離で長時間凝視する行為は、この毛様体筋に過度の負担をかけ、眼精疲労を引き起こすのだ。

 近視メガネをかけている人や、レーシックにより視力が良過ぎる状態(過矯正)の人にも同じことが起きる。レーシック難民が、目の疲れや頭痛、目まいを訴えるのも“眼精疲労”の一種という。
「本来でしたら保険適用される立派な病気なのに、単なる目の使いすぎと侮っている人が多いですね。毛様体筋は自律神経ともつながっているので、放っておくと、目まい、頭痛や肩凝り、果ては自律神経失調症やうつ病を引き起こすこともあります。原因不明の頭痛と目まいで、耳鼻科、内科、脳神経科をたらい回しされ、うちに来てようやく眼精疲労が原因と分かった患者さんもいます」

 単なる目の疲れか眼精疲労か悩むところだが、「一晩寝ても目の疲れがとれない」なら、眼精疲労の疑いあり。保険適用で治療できるし、放置は禁物だ。

 同眼科の眼精疲労外来は完全予約制。詳細な検査に2時間はかかるからだ。その中身は――。

 まずは、基本的な視力検査と眼圧検査、そして「調節微動測定装置」(スピーディーアイ)による、毛様体筋の動きの検査。これにより、眼精疲労の度合いが数値化される。

 記者は「かなり毛様体筋の動きが鈍っていますね。同世代の平均数値の半分ちょっとです」と言われてしまった。

 その後、毛様体筋の働きを麻痺(まひ)させる特殊な点眼薬を使い、より正確な視力を測定。

 結果、記者は軽度の「遠視性乱視」であることが判明。もともと乱視である上に、レーシック手術で若干過矯正になっていたのだ。

 仕事柄、PC仕事は多い。遠くにピントが合っている状態の目で、近くのPC画面を長時間見続けていたら、毛様体筋がヘトヘトになるはずだ。特に遠視は、近視の人より疲れやすいという。

「PC作業の時は近くにピントが合うよう度数を調整したデスクワーク専用メガネをかけるといいですね。これで半数近くの患者さんが、眼精疲労の症状から解放されています。近視メガネを使用している人も、使い分けるべきです」

 初診はここまで。費用は保険適用で約3000円。患者は併設の眼精疲労ケア施設「アイクリーク」を利用できる。こちらは、緑内障治療にも用いる近赤外線照射装置や目の周りの温冷療法など1時間のケアが1000円(保険適用)から受けられる(「かとう眼科」(電話)045・548・0880)。

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