糖尿病予防で男性が見習うべきは「昭和の父とOL」

“子供も小さいし、家のローンもある。60歳以降も働かないと……”“定年からがオレの人生。元気でいなくちゃ”そんな願いをぶち壊すのが患者数が急上昇している糖尿病だ。全国に糖尿病とその予備群は2210万人いてその4割は治療を受けておらず、年間1万7000人が血液透析が必要となり、3000人が失明、足を切断する人も多い。しかし、がんと違い糖尿病はこれからの努力次第で防げる病気。“糖尿病になってたまるか!”と強い決意を持つ中高年は何から始めるべきか?

 糖尿病が恐ろしいのは、発症してから10~15年で神経障害、腎機能低下、網膜症、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、皮膚病、下肢閉塞性動脈硬化症などの合併症があらわれること。

 そうなると、失明、足の切断などが待ちうけ、苦しみのうちに人生を終えることになる。“血糖値は高めだが、オレだけは大丈夫。なんとかなるさ”なんて言っている場合ではないのだ。

 では、糖尿病に勝つには具体的に何をすべきか?

「まず、女性に見習い、ダイエットすることです」というのは糖尿病専門医で「AGE牧田クリニック」(東京・銀座)の牧田善二院長だ。日本で糖尿病患者が増えているが、実はそれは男性だけで女性の糖尿病は増えていないという。

「2007年までの10年間の国民健康栄養調査を見ると、糖尿病患者数は男性は9.9%から15.9%に増えていますが、女性は7.1%から7.3%と微増です。しかも、女性は60歳代以外はすべての年代で減少していますが、男性は50歳代以外は激増しているのです」

 日本の男性と女性は何が違うのか。
「この10年間のBMI(体格指数)の違いです。女性は全年齢層で落ちているのに、男性は逆に増えている。つまり、女性はやせる努力をし、男性は少しくらい太っている方が健康なんて話に安心して怠ってきた。その差なのです」

<自宅の晩酌から始める>

 かといって、すぐに食事の量を減らそうにも、できない相談だ。そこで最初に始めるべきは、自宅で晩酌をすることだと牧田院長は言う。

「最初に野菜や魚、肉を、最後にご飯などの炭水化物を、時間をかけて取る。これが血糖値を上げない食べ方です。実は昭和のお父さんの晩酌がまさにコレ。お酒は血糖値を下げます。さらなる効果を狙うには、ビールやお酒でなく、欧米の研究でやせる効果が証明されている白ワインを飲むことです。このとき、お水を1リットルくらい飲むといい。血液中のアルコール濃度も薄まり、お勧めです」

 そもそも、男性の肥満が増加する原因は仕事にある。忙しいため、早く満腹感を得られる丼物やカレー、麺類といった炭水化物を好み、一気に胃に流し込むからだ。

「昼、満足に食事ができないぶん、夜ドカ食いする。それをやめるためにも、自宅での晩酌がいいのです」

 運動はどうするのか?

「運動で減る体重はわずか。太っている人は当面運動は必要ありません。食事でやせることです。とくに40代以上は基礎代謝が落ちており、糖質オフをしばらく続けなければやせません。やせている人の場合は、どんな運動をするかよく考えなければなりません。いまは寿命100歳の時代。糖尿病を予防するのに、50年続けられる運動を考えなければなりません」