冬こそ用心…ひび割れ、あかぎれと思ったら水虫だった

 夏の間に感染した水虫は、乾燥する冬になると症状が治まってくる。自覚症状がないと治療しない人が多いが、そのまま放置しておくと後悔することになる。

 水虫は白癬菌の感染が原因で発症し、大きく分類して3つのタイプがある。

(1)趾間(しかん)型…足の指の間に小さい水ぶくれができたり、皮膚がふやけて皮がむける。症状が進むとかゆみが強くなる。
(2)小水疱(しょうすいほう)型…かかとや足の指の付け根などに小さな水ぶくれができる。かゆみも強い。
(3)角質増殖型(角化型)…かかとの皮膚の角質が厚くなり、表面がザラザラになる。かゆみはないが、皮がむけたり、ひび割れを起こしたりして痛むこともある。

 いずれの水虫も、しっかりした治療が必要だが、中でも冬に注意するべきタイプは角質増殖型だという。「哲学堂くすのき皮膚科」の楠俊雄院長がこう説明する。

「角質増殖型は、見た目がひびやあかぎれそのもので、一見しただけでは専門医でも水虫だとは分かりません。毎年、冬になるとかかとがカサカサして粉を吹くとか、かかとがひび割れして靴下が引っかかるという人が、検査してみたら実は水虫だったというケースがたくさんあります。水虫なのにひびやあかぎれだと思い込み、尿素の入った軟膏や保湿クリームをいくら塗っても治りません」

 趾間型や小水疱型は、皮膚が白癬菌を追い出そうとバトルするため、かゆみなどの症状が強くなる。

 一方、角質増殖型は皮膚と白癬菌が共存している状態で、自覚症状はほとんどないし、なかなか悪化しない。そのため、治療せずに放置している人がたくさんいるという。

「ただ、そのまま放置していると家族にも感染しますし、白癬菌が自分のお腹や股にうつってゼニタムシやインキンタムシになります。糖尿病の人は、2次感染によって指が壊疽(えそ)を起こす場合もあるので、たかが水虫と侮ってはいけません」(楠院長)

<「角質増殖型」は見分けづらい>

 また、角質増殖型は他に似ている病気がたくさんあるから厄介だ。かかとが硬くなる角化症、ドライスキンになる乾皮症、ひびやあかぎれが悪化した湿疹、赤い発疹やフケのような鱗屑(りんせつ)を伴う乾癬などと誤診される場合も多いという。

「病気によって、保湿剤、ステロイド、ビタミンD 3など、それぞれ違う薬を使うので、自分の判断で市販薬を使い続けていると、トラブルが発生する恐れもあります。趾間型や小水疱型は、市販の塗り薬でも症状は改善しますが、角質増殖型は、基本的に飲み薬でなければ治りません。角質増殖型の人は爪に水虫を持っているケースが多い。冬になるとかかとが割れ、爪が白く濁っている人は、専門家の診察を受けて、自分に合った薬を処方してもらった方がいいでしょう」(楠院長)

 飲み薬を3カ月ほど服用すれば、ほとんど根治するという。ただ、高血圧、コレステロール、不眠症などの薬とは飲み合わせが悪い種類もあるので、必ず専門医に相談することが必要だ。

 かゆみや炎症などの症状が出ない冬こそ、水虫は気をつけなければならない。思い当たる人は、素人判断せずに皮膚科を受診し、しっかり治療すべし。