死者年間1万4000人…風呂で溺死しない「正しい入浴法」

 また、血管内の抵抗が減ると血液の粘度が下がるため、血液はサラサラになる。多くの血液が循環するようになるため、体全体により多くの栄養素や酸素が供給され、代謝や免疫力もアップするという。

 シャワー文化の米国でも、こうした入浴による健康増進効果が注目され、最近は気泡風呂などでお湯につかる人が増えているという。やはり、湯船につかるのは体にいいのだ。

 しかし、間違った入浴をしていると、健康どころか命に関わるリスクが増大する。

 死亡統計からの推計では、日本では年間約1万4000人が入浴中に死亡しているとみられている。全体の9割近くが65歳以上の高齢者で、12月、1月の冬季が圧倒的に多い。温度差によって、血管や心臓への負担が大きくなり、風呂で倒れてそのまま溺死するケースも目立つ。

「42度以上のお湯に10分以上つかっていると、高温によって心臓そのものがダメージを受けることに加え、交感神経が興奮して心拍数や血圧が上昇し、心臓の負担が増えます。循環血液量も減少するうえ、脱水によって血液の粘度が増し、血栓ができやすくなる。そのため、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなるのです」(東丸教授)

2 / 3 ページ

関連記事