50代の足のむくみ、ひと晩で取れないなら「下肢静脈瘤」のサイン

 近ごろ足がむくむ――。酒の飲みすぎ? それとも年のせい? いやいや、重大な病気のサインかも。実は50代以上の女性がかかりやすい足の病気がある。放っておくと皮膚に穴が開くことも。侮れない足のむくみを徹底究明する。

「むくみとは、静脈やリンパ管から水分やリンパ液が染み出し、組織内にたまってしまうこと。原因には立ち仕事や体質、食事、生活習慣、ストレスなどいろいろありますが、正常なむくみは、一晩寝れば治ります」

 こう言うのは、足のむくみに詳しい「四谷・血管クリニック」の保坂純郎院長。では、一晩で引かない“異常なむくみ”とは何か?

「朝起きてもむくみがとれない。または片方だけ明らかにむくんでいるといった場合は、何らかの病気が原因の可能性があります」(保坂院長)

 真っ先に疑われるのは心臓、腎臓、肝臓の病気だという。
「心臓の働きが悪くなり、血流が滞ると、足がむくみやすくなります。腎臓や肝臓にトラブルが起こると、血液に含まれるアルブミンという物質が減り、水分を血管に取り込む力が弱くなり、水がたまってむくみやすくなります」(保坂院長)

 普段から、心臓の薬を飲んでいる老親がいたら特に注意したい。
 前立腺がんなどでリンパ節を取る手術をした場合にも、ひどい手足のむくみが起こりやすい。

■最悪は足の皮膚に穴が

 50歳以上で最も多いのは、「下肢静脈瘤」によるむくみだ。

「足の静脈の病気で、心臓に向かう血液を逆流させないための“弁”が壊れることで起こります。血液が逆流すると、血管に血液がたまり、足がむくむ、だるい、火照る、痛む、血管がボコボコと浮き出るなどの初期症状が表れます」(保坂院長)

 原因は「長時間の立ち仕事や座り仕事による血流不全」「加齢による血管の脆弱(ぜいじゃく)化」「遺伝」「肥満・脂質異常」「妊娠・出産」など。女性に圧倒的に多い。すぐに命に関わる病気ではないが、放っておくと湿疹や皮膚の硬化、色素沈着などを起こす。最悪は潰瘍で足に穴が開くことも。悪化したら手術しかない。

■予防には“貧乏ゆすり”

 発症しやすいのは加齢で血管が弱くなる40~50歳代。ただし、予防法がないわけではない。

「まずは食事。過度の脂肪や塩分は血管を傷めます。あとは運動です。仕事の合間に、足の指をグーパーしたり、かかとを上げ下げするだけで血流は良くなります。“貧乏ゆすり”も、実は効果的です」

 アルコールも血管を拡張させ、足をむくみやすくする。また、塩辛いツマミが欲しくなるので塩分過多にも陥りやすい。

 忘年会の翌朝、足のチェックをお忘れなく。

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