日本はなぜ先進国で唯一エイズ患者数が増加しているのか?

 エイズウイルスは、治療しなければ100%発症する。これまで感染から発症まで5~10年といわれていたが、その期間は短くなってきている。

「エイズウイルスが日本人の血液の型になじんだのです。そのため、自己免疫力で発症を抑えづらくなった。感染から3年もたたないうちに発症する人が増えています」
 エイズウイルスの検査は保健所で匿名・無料で受けられる。医療機関では自費(病院によって違うが2000~5000円程度)になる。

「検査結果が陽性となると、エイズ治療の専門機関を紹介されます。免疫力がある一定の数値以下なら公的補助が受けられ、月5000~2万円で治療が受けられます」
 公的補助が受けられない場合は、健康保険適用の3割負担で7万~8万円の治療費がかかる。

「世界のエイズに対する考え方は、エイズ感染拡大を防ぐために、感染が見つかれば全員が治療を受ける方針です。しかし日本では個人の病状を中心に見ているので、免疫力がまだそれほど下がっていなければ、公的補助が下りません」

 不特定多数の人と性交渉しない、する時はコンドームをつけるなどがエイズの対策だが、それ以前にまず、検査を受けて感染の有無を調べること。性行為の経験があれば、だれでもリスクがある。それがエイズだからだ。

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