妻のイライラもこれ? 女性の3人に1人が悩む「尿失禁」対策法

 あなたの奥さんは大丈夫だろうか? 女性の3人に1人が尿失禁(尿漏れ)に悩んでいるというのだ。

 妻の健康を守ることは、家庭の平和を守ることにつながる。妻のイライラしっぱなしの原因は、尿失禁にあるかもしれない。石井クリニック(さいたま市浦和区)の石井泰憲院長に、妻にそっと伝えたい尿失禁対策を聞いた。

■腹圧性なら簡単な体操で改善

 尿失禁の60~70%を占めるのが、腹圧性尿失禁だ。

「クシャミやセキ、重い荷物を持ち上げた時などお腹に力が入った時に尿が漏れます。難産だった人、立ち仕事の人、介護の仕事をしている人、筋トレなどで腹筋を鍛えている人、ガードルやボディースーツで腹部を締め付けている人に多く見られます。一般的に、30~40代から始まります」

 腹圧性尿失禁には、骨盤の底の筋肉を強くする骨盤底筋体操が効果的だ。いくつかの方法があるが、代表的なものでは、(1)あおむけに寝て、軽く足を広げて膝を立てる(2)リラックスした状態で息を吸いながら、肛門を引き寄せるようにして肛門をギュッと締める(3)5秒締めたら息を吐きながら緩める。1回10~20分、1日にちょこちょこ行う。

 さらには、(1)~(3)を、両手を伸ばして床につけ、腰を持ち上げた状態で行う。
「効果が出るまでには2~3カ月かかります。根気よくやることがポイントです」
 α交感神経刺激薬や女性ホルモン、括約筋を強くする薬などを併用することもある。しかし、骨盤底筋体操が基本だ。

 重症の腹圧性尿失禁には、手術という選択肢もある。TVT、TOTと呼ばれるもので、下腹部に小さな穴を開け、メッシュ状のテープで垂れ下がった膀胱(ぼうこう)と尿道を吊り上げるという。手術といっても30分ほどで終わり、入院も3~4日ほど。手術の痕は小さく、目立たないという。

■切迫性は膀胱訓練法で

 腹圧性尿失禁に次いで患者数が多いのが、切迫性尿失禁だ。

「膀胱は350~400ミリリットルくらいの尿がたまると尿意を感じるようにできています。ところが、膀胱に十分量の尿がたまる前に、尿意を感じるのが切迫性頻尿で、突然、尿意を感じてトイレまで間に合わないのが切迫性尿失禁です。脳の働きに問題があると切迫性尿失禁を起こすことが分かっていますが、多くの場合、原因不明です」

 切迫性尿失禁の場合は、膀胱訓練法というトレーニングが行われる。膀胱の大きさを調べて、膀胱の収縮を弱くして尿意を抑える薬を服用しながら、トイレに行く間隔を延ばし、今の大きさより膀胱を大きくしていく。腹圧性尿失禁と違い、専門医の指導が必要になる。

「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)という漢方薬を使ったり、排尿日記をつけてもらって、どんな時にどれくらいの尿が出るかを調べてもらうこともあります。排尿日記の記録をもとに、トイレに行く間隔を徐々に延ばしていきます。腹圧性尿失禁以上に根気が必要ですが、半年ほどたつと、徐々に失禁の回数が減っていくのを実感できます」

 尿失禁が頻繁にある時は、恥ずかしがらずに専門医の治療を受けることだ。電話相談などもある。

 このことを奥さんに知ってもらうため、台所のテーブルの上にでも、メモ書きを載せておいてはどうだろう。

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