腎臓のトラブルかも…尿の「泡」と「色」で病気を見つける

 朝起きて、いつものようにトイレで用を足したら、いつもと違う小便が出た。<ひょっとしたら、悪い病気かも……>なんて不安にかられた経験がある中高年は多いに違いない。隠れた病気を見つけるための尿チェック法を、腎臓専門医で松尾内科クリニック(東京・桜新町)の松尾孝俊院長に聞いた。

 尿は、腎臓をはじめ、さまざまな病気のサインになる。腎臓は血液中の老廃物を濾過(ろか)し、尿として体外に排出する働きがある。本来なら、尿に蛋白(タンパク)や血が混ざることはないのだが、腎機能に何らかのトラブルが生じていたり、尿が通る経路に異常があると漏れ出すケースがある。尿のチェックは重要なのだ。

 まずは、小便をした時にできる「泡」に注意したい。

「尿が泡立ってなかなか消えないと訴えて検査に来られる方がいます。大半の方は落下によってできる細かい泡がドーム状になった状態を気にされていますが、この泡は心配いりません。検査をしても正常です。尿に蛋白が混ざっていると、蜂の巣のように大きめで、洗剤のシャボン玉のようにふんわりした感じの泡になります。そうした状態の泡が立つ場合は、医師の診察を受けてください」

 腎臓の働きを調べる指標として、最近は、クレアチニン値と年齢・性別から計算する「eGFR」(推算糸球体濾過量)が重要とされ、尿蛋白は軽視されている傾向があるという。

「『eGFR』もいいのですが、もっと尿蛋白を重視すべきです。尿に蛋白が漏れ始めているということは、腎臓に何らかの異変が起きている可能性がある証拠です。健康診断などで、蛋白が出ていると言われても、そのまま放置する人が非常に多い。痛くもかゆくもありませんし、見た目も大きな異常はないため、〈この程度なら平気だろう〉と甘く考えているのです。そのまま放っておくと、腎機能がどんどん悪化する可能性があるので、もっと注意すべきです」

 蛋白の漏れを意識するためにも、泡のチェックは大切なのだ。

■赤、褐色、白…それぞれ症状が違う

 尿の「色」にも注意したい。真っ赤な尿はもちろん、コーラのような褐色の尿が出る場合、医師の診察を受けた方がいい。いわゆる血尿だ。

「尿は体液を調整する役割もあるので、水分が足りていなければ濃い色になりますし、水分が十分に満たされれば希釈された透明な尿になります。また、激しい運動をした後などに血中から筋肉の成分が混ざり込み、赤や褐色の尿が出るケースもあります。普段から尿の色をチェックしておき、安静にしている状態でいつもとは違う赤色や褐色の尿が出たら、注意する。腎臓に炎症があるケースだけでなく、膀胱がん、膀胱炎、尿路結石といった尿の経路に問題があるケースも多い」

 白っぽく濁った尿が続く時は、感染症にかかっていたり、蛋白が漏れている可能性があるという。

 漫然と小便をしているだけでは、病気を見逃しかねないのだ。

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