肝臓がん手術の権威が語る「医者は失敗から何を学ぶべきか」

 しかし、医者には1回の失敗だが、患者さんには全て。失敗を繰り返さないためには、経験を次につなげることが重要なんです。だから、失敗は自分のことだけでなく人がしたことも覚えていなくてはならない。自分ならどうするか、と考えるのです。

■どうすれば患者を救えるかを常に考える

 これまでの手術の記録は全て残しています。時々見直し、大事なことは忘れないようにしています。学会にも出席し、新しいことを取り入れる。医学は日進月歩です。学び続けなければ患者さんを救えません。夜を昼にして勉強しなくてはならない。365日24時間医者でなくてはならない。

 収入や時間外労働なんて考えていたら、外科医は務まりませんよ。僕が東大を辞める時の60歳の給料は39万7000円。でもね、そんなことは関係ないんです。好きなことをしていても、どうすれば患者さんを救えるかを考えています。

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