体が年老いていくと、気持ちまで老け込んでしまう。14年こそは「マイナス10歳の体」を手に入れて、若々しさを取り戻したい。「老化は治せる」の著者で、練馬光が丘病院リウマチ内科顧問の後藤眞医師に詳しく聞いた。
(1)光を浴び過ぎない…皮膚科医の間では〈光老化〉という言葉がよく使われる。紫外線を浴びると皮膚は炎症を起こし、シミ、シワ、肌のたるみといった皮膚の老化の原因になる。
それだけではない。皮膚の細胞にも炎症が起こり、「サイトカイン」というタンパク質が放出される。サイトカインは細菌やウイルスを攻撃するが、同時に自分の体の細胞も傷つけ、血管や血糖調節の働きを悪くする。結果、動脈硬化や皮膚がんなどさまざまな病気が引き起こされる。
「昔は〈健康のために太陽の光を浴びた方がいい〉といわれていました。しかし、普通に生活していれば紫外線を浴びる。それで十分。浴び過ぎないように、紫外線予防のクリームの塗布やサングラスの着用をお勧めします。健康にいいからと日中にウオーキングやジョギングをするのは、老化促進につながります」
(2)加熱調理を減らす…肉や魚を焼くと、いい香りがして表面がキツネ色になる。
「これは、タンパク質、糖質、脂質が熱で酸化し、AGE(最終糖化産物)といわれる物質ができるからです。AGEは炎症の原因になり、動脈硬化など体に悪影響を与えます」
100%避けることは難しいが、可能な限り非加熱食品を取るように意識しておきたい。
(3)よく噛む…昔からよくいわれる「よく噛んで食べる」ことも老化防止になる。
「30~50回ほど噛むことを心掛けてください。食べ物が吸収された時の血糖値の上昇を緩やかにします。血糖値の急上昇は、細胞膜の炎症やAGEの産出につながり、老化を促進させます」
(4)寝る前に水を飲む…人間の体重の60~80%は水分で構成されている。水分が失われていくと細胞の炎症が起こる。血液がドロドロになって血流が滞り、血管を傷つけることにもなる。
「1日2リットルの水分を補給してください。とくに夜寝る前に水を飲むことが大切です。就寝中に寝汗で1リットル近くの水分が失われるからです。明け方に体がカラカラになると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります」
一つ一つは、ちょっとしたこと。それらを毎日積み重ねることが、若さを取り戻す秘訣だ。