毎年2万人超が発症、2000人死亡 日本は「結核中進国」

 発症してすぐ治療が開始されれば、“不幸中の幸い”でまだ済む。ところが、そうはいかない。

「結核の5大症状は、咳(せき)、痰(たん)、血痰、発熱、胸痛です。これらはありふれた症状のため、見逃されやすい。咳や痰などの症状はほとんどなく、だるさや食欲不振だけでは、高齢者の場合は〈年のせい〉と思われてしまうこともあります」

 結核の発症を知らずにこれまで通りの生活を続けると、本人の病状が悪化していくのは当然として、もっと怖いのは、結核菌の周囲への感染だ。

「結核を発症した高齢者から家族、介護従事者、医療従事者などに感染します。彼らの中に感染から発症に至った人がいて、それに気が付かなければ、彼らの職場、交通機関、コンビニや漫画喫茶といった公共の場で不特定多数の人にうつしていくことになる。それこそ、結核菌のバトンタッチが次々に行われるのです」

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