この春承認 “糖尿病新薬”はどのくらい画期的なのか!?

 腎臓には、糖を再吸収する輸送体としてSGLT1とSGLT2がある。輸送体は、必要に応じて開く穴のようなものと考えると分かりやすい。このうち、主に働いているのがSGLT2。新薬は、SGLT2の働きを阻害することで、糖の再吸収を防ぎ、そのまま尿として出すようにするわけだ。

 過去には実験用の薬でSGLTの1と2の両方を阻害するものもあった。しかし、SGLT1を阻害すると、小腸での糖の吸収に作用して、消化管障害が起こるリスクが高くなることが分かったので、新薬ではSGLT2だけに作用するようになっている。

「この薬のメリットは、腎臓からの糖の再吸収を阻害するだけなので、血糖値が下がりすぎない。従来の糖尿病治療薬の中には、低血糖の副作用がありましたが、その心配の少ない薬です。体内の糖が減少するので、体重もある程度減少します」

 ただ、一方で、血糖値を下げすぎないということは、効果がそれほど強くないということ。血糖コントロールが非常に悪い人には、少なくともSGLT2阻害薬を1種類だけ使用、というのは難しいだろう。

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