仕事始めから1週間 長引く胃の不調をたった3日で元に戻す

 食べて飲んでゴロゴロしていたら、正月休みがアッという間に終わってしまった。休みが明けてから、胃が重苦しくてムカムカするし、ダルくてツラい……。仕事始めから1週間たっても、そんな不調に悩んでいるサラリーマンは多いだろう。

 3日間で元の調子を取り戻したい。日刊ゲンダイ本紙で「胃力アップで病気を防ぐ」を連載中の江田証氏(江田クリニック院長)にコツを詳しく聞いた。

「正月休み明けは、胃の不調を訴える患者さんがたくさん来院されます。あまり外出もせず、食事も睡眠も普段とはまったく違うペースで過ごしていたことで、自律神経が乱れていることが大きな原因です。胃の動きも自律神経がつかさどっています。とりわけ、休み明けはストレスがかかって交感神経が高まるので、胃の調子が悪くなりやすいのです」

 緊張やストレスを感じている時に働く交感神経が優位になると、攻撃因子である胃酸が多く分泌されるうえ、胃酸から胃壁をガードしている胃粘膜の粘液分泌が減ってしまう。胃酸が出過ぎると、胃が痛んだり、胸やけ、ゲップといった症状が表れる。

 また、自律神経のバランスが崩れると胃の動きも悪くなる。胃がもたれる、重苦しい、吐き気を感じるのはそのためだ。

「まずは、リラックスしている時に働く副交感神経を優位にするような生活を意識してください。40度程度のぬるめの風呂にゆっくりつかる。のんびり散歩をする。食事の時に好きな音楽を聴く。夜10時以降はパソコンやスマホは見ないようにする。こうした生活パターンを続ければ副交感神経の働きは高まります」

■「T・U・F」な食事を意識する

 さらに、食事では「T・U・F(タフ)」を意識する。
「T」は「タウリン」のこと。イカ、タコ、マグロ、ホタテ、カキといった魚介類に多く含まれている。

「タウリンには胃の細胞の寿命を延ばす作用があります。暴飲暴食をすると、胃の粘膜の細胞が傷つき、死んでしまう。そうなると、胃が荒れて不調が表れます。ピロリ菌に感染しているとその毒性が活発になり、さらに悪影響を与えます。タウリンを摂取すると胃の細胞の寿命を延ばすことができるので、胃の調子も改善されるのです」

 タウリンはビタミンCを同時に取ると効果が長持ちする。魚介類はレモンやスダチを搾って食べればいい。「U」は「ビタミンU」で、胃酸を抑え、胃炎を軽減させる働きがある。キャベツに多く含まれている。

「ビタミンUは加熱すると壊れてしまうので、生のまま千切りで食べるのがいい。さらに、1週間ほど冷蔵庫などで冷やしておくと、ビタミンUが増えることも分かっています」
「F」は「フコイダン」のことで、ワカメやコンブといった海藻のぬめり成分がそれに当たる。

「正常な胃粘膜は、粘液によってしっかりとガードされていて、胃酸をブロックしています。しかし、自律神経の乱れや暴飲暴食などで粘膜が壊れると、胃は荒れてしまう。フコイダンは、粘膜をサポートしてピロリ菌が胃粘膜に付着するのを防ぐ働きがあります」

 副交感神経を高めつつ、「T・U・F」な食事を続けても不調が改善されなければ、1日だけプチ断食して胃腸を完全に休めるのが効果的。それでもダメならウイルス性胃腸炎の可能性もあるので、医者に行くべし。

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