心筋梗塞3割増 サラリーマン「危ない月曜日」の切り抜け方

 ああ、今日からまた会社か……行きたくねえ。月曜日の朝、こんな憂鬱な気分になった経験があるはずだ。気分だけならまだましで、月曜日は命の危険があるから気をつけたい。

■ストレスが最大のリスク因子

 大阪大などの調査では、仕事をしている男性は月曜日の心筋梗塞の発症率が他の曜日に比べて30%も高かった。鳥取大の調査によると、脳卒中の発症率も月曜日は日曜日の1.3~1.5倍に増えるという。

 欧州や米国でも就労者が月曜日に心筋梗塞などの冠動脈疾患を発症したり、死亡するリスクが10~20%ほどアップすることが報告されている。サラリーマンにとって月曜日は危険がいっぱいなのだ。

 東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授がこう解説する。
「土曜日、日曜日に仕事を離れて休んだサラリーマンにとって、活動期に入る月曜日の朝は大きなメンタルストレスがかかります。午前中はもともと心臓や脳にとって危険な時間帯ですが、ストレスが加わると、生体を興奮させる交感神経が緊張して血管が収縮し、血圧上昇や心拍数増加で心臓にさらに負担がかかります。血液も固まりやすくなり、冠動脈硬化巣ももろくなるので血栓ができやすくなります。そのため、心筋梗塞や脳卒中が発症しやすくなるのです」

 メンタルストレスは、冠動脈疾患にとって最大のリスク因子になる。運動よりも心臓にかかる負担は大きいというから、甘く見てはいけない。
 日頃から、ハードな仕事をこなしていたり、責任があるポジションを任されている人ほど、月曜日に加わるストレスは大きくなる。

「部下をうつにしない上司の教科書」などの著者で、精神科医の奥田弘美氏が言う。
「厚労省の調査では、自殺が最も多いのも月曜日です。それだけ、休日モードから仕事モードに変化しなければならない月曜日は、精神的に大きなストレスを受けるのです。普段からハードに働いている人はなおさらです。また、土日は家族サービスに追われたり、調子に乗って遊びすぎたりして体に疲労が残っていると、月曜日に一気にツケが回ってきます。疲労がない状態で月曜日を迎えることができれば、気持ちは前向きになりますし、ストレスに対する耐性もアップします」

 危ない月曜日を乗り切るためには、ストレスを最小限に抑えることが重要だ。
「日曜日はできるだけ遠出せず、少なくとも夕方以降はのんびり過ごした方がいい。早めに夕食を済ませ、アルコールは控える。7時間は睡眠をとるようにベッドに入ってください。たとえ眠れなくても、体を横にして目を閉じているだけで効果はあります」(奥田氏)

 月曜日は午前中からバリバリ仕事をするのは避ける。それほど頭を使わなくても機械的にこなせるルーティンワークや、自分が得意な仕事を優先するようにしたい。
「仕事モードのリズムをつくって体を慣れさせることが大切なので、何もしないでだらだらサボるのはマイナスです」(奥田氏)

 高血圧や動脈硬化などのリスクを抱えている人はさらに注意が必要だ。
「月曜日は危険な日だとしっかり意識しておくことです。月曜日の朝は、起きた時に血圧を測って異常がないかチェックしたり、薬を忘れずに飲むようにしたり、他の曜日よりも慎重に過ごした方がいいでしょう」(東丸教授)

 これで、危ない月曜日を乗り切れる。

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