心電図じゃ見つからない 「心臓異常なし」は信用できない

 脂質沈着、狭窄、プラーク付着といった血管の動脈硬化による変化は、心電図と胸部レントゲンではチェックが不可能。何で見ればいいかというとMRIだ。
「MRIでは、磁石と電波を使って心臓の細かい断層写真を撮り、3Dで立体表示します。これによって、血管の詰まり具合を初期の段階から調べられる。CTでももちろん可能ですが、X線の出力が大きく、放射線被曝が問題になる上、副作用のリスクがあるヨード造影剤が必須なので、患者さんへの負担を考えると、ベストはMRIです」

 しかし、心臓のMRIを“普通に”行う医療機関はほとんどない。
「MRIは体のさまざまな部位を調べる高度な医療機器です。緊急性の要するものから検査に用いられるので、必要と判断されなければ、MRIを受けたくても予約は数カ月先に回されるでしょう」

 心臓は1分間に60回動く臓器なので、検査の中でも画像診断の難しさはトップ。さらに、心臓のMRIは1回撮るのに1時間ほどかかる。MRI装置は非常に高額なので、次々と検査を行わないと、病院の経営にかかわる。これらの理由から、狭心症や心筋梗塞が高い確率で疑われる時を除いて、「まず行われるのは心電図と胸部レントゲン」というのが現状なのだ。

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