薬が効かない7割の人に吉報! うつ病は「磁気刺激」で治す

「当院でも複数の抗うつ薬で改善しなかった130人にrTMSを実施すると、30%の人が寛解しました」

 rTMSのメリットは、安全性が高く、薬のように吐き気、眠気、性機能障害、急激にやめた場合のセロトニン離脱障害といった全身性の副作用が起こらないことだ。もちろん、副作用がないわけではなく、頭痛や刺激を与える箇所の痛みを訴える人もいるが、耐えられないほどではない。けいれんの副作用も指摘されているものの、0.1%未満とわずか。

「SSRIやSNRIを3種類服用しても寛解に至らない場合、4剤目の薬を試した時の寛解率は約7%ですが、rTMSだと18%です。これもメリットだと思います」

 一方、デメリットは患者の時間的負担が大きいこと。rTMSは1回約40分かかる。これを週5日、4~6週間続けなくてはならない。通院で受けるにしろ、入院で受けるにしろ、拘束時間が長い。ちなみに、メリットの箇所で“痛みは耐えられないほどではない”と述べたが、これは、やり始めは痛いが、回数を重ねるうちに“痛みを感じなくなる”という意味も含まれている。

「従来のうつ病治療の第3ステップは脳に電気けいれんを与える電気けいれん療法です。しかし、rTMSが普及すれば、第1ステップと第2ステップの間にもうひとつ治療法が入ることになり、選択肢が増えます」

 実用化が待ち望まれる。

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