非喫煙者も罹患 作家・山本兼一氏を襲った肺腺がんの恐怖

「利休にたずねよ」で直木賞を受賞した作家の山本兼一氏が死去した。57歳の早すぎる死の原因は肺腺がんだった。

 肺腺がんは扁平上皮がんと並ぶ、肺がんの一種。たばこを吸うと、扁平上皮がんの発症リスクは10倍に跳ね上がるが、肺腺がんの発症リスクは男性で1~2.5倍、女性で1.5倍程度だ。たばことの因果関係が希薄。つまり、たばこを吸わない人もかかる病気なのである。

 喫煙者が減少しているため扁平上皮がんは減少傾向だが、肺腺がんは増加の一途にある。いまや男性の肺がんの4割、女性の7割に達している。

 医学博士の左門新氏に解説してもらった。
「扁平上皮がんは気管支の真ん中にできるので比較的発見が簡単ですが、肺腺がんは肺の奥にできるためレントゲン検査では見つかりません。原因は大気汚染ともレンガなどに含まれるラドンが放つ放射線ともいわれています。女性の患者さんが多いのは女性ホルモンのせいという説もあります」

 症状は「胸に痛みや圧迫感を感じる」「呼吸困難になる」「声がかすれる」「顔や喉がむくむ」など。

 ただし、こうした自覚症状を感じてから診察を受けても、手遅れの場合が多い。5年生存率は早期発見の場合で7、8割。発見が遅いと1、2割というから恐ろしい。

「心配な人はレントゲンではなく、CT検査やPET検査を受けてください。予防法は空気の悪い環境を避け、バランスの取れた食事をすること。イソフラボンに予防効果があることが分かっているので、大豆を食べるのもいいでしょう。もちろん、たばこはいけません」(左門新氏)

 健康診断をしっかり受けたい。

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