外国では単剤投与が一般的だが…統合失調症の薬なぜ多い?

「多剤大量投与が問題視されるようになり、国も薬を減らしていこうという方向性を打ち出すようになりました。それは非常にいいことですが、減薬を早急に行うことには経験上反対です」

■患者が薬について十分理解することも重要

 統合失調症に限らず、精神科の薬はすぐに薬を減らすのは危険だ。

「これまでの薬に別の薬をプラスし、症状が安定すれば前の薬を減らす。一時、多剤大量になりますが、これが一般的な減薬方法です。重要なのは、なぜ薬を減らせ、なぜこの薬を飲まなくてはならないのかを、患者さんに十分に理解してもらうこと。それなしに薬の出し方を変えれば、患者さんの不安や不信が強くなり、薬を飲めなくなったり症状が悪化したりすることも。誤った服用方法にもなりかねません」

「ひだクリニック」では、「統合失調症の治療の目的は社会復帰」ということを、患者やその家族と折に触れ確認する。社会復帰を実現させるために、薬の種類や量を減らす。しかし、必要な薬は飲む。適切な薬をきちんと飲み、症状をコントロールできるようになれば、どのような生活が可能になるか――。時にイラストなどを使いながら話し合うという。

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