花粉症シーズンが終わってからも怖い「合併症」の深刻度

 記録的な寒波の影響で、今年は花粉の飛散量が過去10年で2番目に少ない。しかし、これから気温が上昇すると、一気に急増するとみられている。花粉症だけでなく、その合併症にも注意が必要だ。

 目がかゆくて涙がボロボロ、くしゃみが止まらず鼻水もズルズル……。ただでさえ厄介な花粉症だが、その花粉症がさらなる病気を引き起こすケースも多い。花粉の季節が終わってからも深刻な症状に悩みたくなければ、注意しておく必要がある。

 まず「副鼻腔炎=蓄膿症」に気をつけたい。鼻の周辺にある骨の空洞部分に鼻水やうみがたまり、炎症を起こす病気だ。耳鼻咽喉科の専門医で「慶友銀座クリニック」(東京・東銀座)の大場俊彦院長は言う。

「花粉症によるアレルギー性鼻炎が続くと、粘膜が腫れて空洞から鼻へのルートが潰れてしまいます。そうなると、鼻水の流れが悪くなったり、空洞部分にうみがたまって炎症を起こし、副鼻腔炎になります。粘り気のある鼻水が止まらなかったり、鼻づまりが改善しないだけでなく、炎症が広がると頬、おでこ、目の周りが痛くなることもあります。嗅覚に障害が出て、ひいては味覚にも悪影響が出ます」

 花粉症の治療をしているのに、鼻水や鼻づまりが長引く場合は、花粉症ではなく副鼻腔炎を疑ってみた方がいい。抗生物質による治療が必要だ。

■コンタクトと目の間に花粉が入り込んで…

 近年は花粉症が引き起こす「口腔アレルギー症候群」も増えている。花粉症の人が、花粉とよく似たアレルゲンを持つ特定の果物や野菜などを食べることにより、口や喉にアレルギー症状を引き起こす。水疱(すいほう)ができたり、かゆくなったり、腫れたりする。重症の場合、呼吸困難や意識障害などが表れるアナフィラキシーショックを起こすケースもある。

 人によって原因物質が異なるが、メロン、モモ、キウイ、リンゴ、オレンジ、トマトといった食品を食べて症状が表れたら、すぐに食べるのをやめることだ。

 目の合併症も甘く見てはいけない。杏林大学医学部杏林アイセンターの山田昌和教授は言う。

「目のかゆみ、充血、目やにといった花粉症の症状は、目の粘膜に花粉というアレルゲンが侵入して起こるアレルギー性結膜炎です。症状が重くなると、『春季カタル』を発症するケースもあります。重篤なアレルギー性結膜炎のことで、激しい目のかゆみや痛みで目を開けられなくなる人もいる。角膜に大きな傷ができたり、濁りが出て視力が落ちてしまう場合もあります。もともとアトピー性皮膚炎の患者さんが花粉症によって発症するケースが多いので、注意してください」

 また、コンタクトレンズを使用している人は、レンズと目の間に花粉が入り込んで角膜を傷つけ、表層角膜炎になるケースもあるという。花粉の季節はメガネにしておいた方が無難だ。

 腰もしっかりガードしたい。花粉症によってくしゃみを連発したり、頻繁に思い切り鼻をかむことで腰に想像以上の負担がかかり、ぎっくり腰や腰痛を悪化させる人もいる。あぐらなど腰に負担がかかる姿勢のままくしゃみをすることはなるべく避け、腰痛持ちの人は日頃から腰周辺の筋肉をほぐしておく。

 花粉は“万病のもと”なのだ。

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