カリスマバイヤー藤巻参院議員襲った「大動脈瘤破裂」の怖さ

 結いの党の藤巻幸夫参院議員(享年54)が15日、出血性ショックで死去した。

 伊勢丹のカリスマバイヤーや福助社長などファッション業界で知名度を上げ、12年12月に比例で繰り上げ当選。政治家としてはまだこれからだった。昨年12月のみんなの党分裂劇までは、元気そのもので病気の気配など
全くなかったという。

■年明け以降、国会に姿を見せず

 結いの党関係者がこう言う。
「クリスマスの頃に急性すい炎で倒れ、入院したそうです。以降、国会に顔を見せることはありませんでした。党内で何度か<お見舞いに行こう>と話しましたが、ご家族から<面会できる状態ではないので>とのことでした。ただ数日前、藤巻さんの秘書が<状態はいいです>と言っていたので、春には復帰できるかと思っていたのですが…」

 死因の出血性ショックを招いたのは大動脈瘤破裂だったようだ。大動脈は、心臓から拍出された血液を全身に届ける血管で、直径2~3センチ。体の中で最も太い血管が破裂するのは、高血圧が原因といわれている。

「血管が高血圧によるプレッシャーを受けていると、劣化するところができてきます。それで、弱くなった部分に、水風船のような瘤(こぶ)ができる。水風船にどんどん水を注入すれば破裂します。それと同じように、臨界点に達した動脈瘤が破れて出血するのが、大動脈瘤破裂です。瘤が破裂したら致死率は9割に上る。瘤が小さいうちに見つけて、治療できるかが生死の分かれ目です」(東京都健康長寿医療センター・桑島巌顧問=高血圧外来)

■昨年末、急性すい炎で入院

 生活習慣病の一つである高血圧は、暴飲暴食や飲酒、喫煙、過労、睡眠不足、ストレスが悪化要因になる。そのうちのいくつかが重なって、ただでさえ高い血圧が一時的に急上昇すると、大動脈瘤が破裂する。そこが、臨界点だ。生前の藤巻氏は日焼けして健康そうに見えたものの、メタボ気味だったから、暴飲暴食の気があったかもしれない。それを裏づけるのが、昨年末に急性すい炎で入院したことだ。

「急性すい炎は、脂っこい食事や過度の飲酒を何日も繰り返すと、発症します。大動脈瘤破裂と急性すい炎は、まったく異なる病気ですが、それぞれのリスク因子が重なり合うのです。12月の入院から“面会謝絶状態”だったそうですから、急性すい炎も重かったと推測できます」(桑島氏)

 藤巻氏が経営するデザイン会社がうまくいっていなかったという話もある。ストレスが頂点に達していたのか。

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