健康食品の過剰摂取が招く「アレルギー症状」「肝機能障害」

 体にいいといわれている健康食品は時に“毒”にもなる。国の機関も注意喚起を呼びかけている。健康ブームだからこそ知っておいた方がいい。

 花粉症の人は豆乳に要注意! 健康飲料として人気だが、昨年12月、国民生活センターが、豆乳や大豆を主な原材料とする飲料の摂取により、皮膚や粘膜のかゆみ、腫れといったアレルギー症状が発症したという相談が増えていると発表した。

 中でも、シラカバなどのカバノキ科の花粉症に悩んでいる人は、豆乳を飲んだことで「口腔アレルギー症候群」を発症する危険もあるという。カバノキ科の植物の花粉に含まれているアレルゲンタンパクが、大豆に含まれるアレルゲンタンパクと似ているためだ。

 肝臓にいいといわれている「ウコン」にも注意が必要だ。厚労省の調査によると、健康食品が原因として疑われる肝臓障害患者95人のうち、最多の36人がウコンを含む食品が原因だったという。

 また、肝硬変の60代女性が粉末ウコンを毎日スプーン1杯飲み始めたところ、2週間で症状が悪化して3カ月後には死亡した事例もある。
 肝機能に障害がある人は肝臓に鉄分が蓄積されやすく、ウコンに含まれる鉄分が過剰にたまることで症状を悪化させるといわれている。

 ウコンの主成分であるクルクミンの1日当たりの許容摂取量は体重1キロ当たり3ミリグラム以下。健康な人も取り過ぎには気をつけたい。
 注意すべき健康食品は豆乳やウコンだけではない。横浜創英大名誉教授の則岡孝子氏(栄養学)は次の4種類についても警鐘を鳴らす。

■β―カロテン

 高い抗酸化作用があり、がんや動脈硬化の予防効果が注目されている。しかし、サプリなどから取り過ぎると、β―カロテン過剰症になり、全身の皮膚がはげ落ちたり、関節や骨の痛み、脱毛、頭痛などの症状が出るケースがある。

 また、喫煙者が毎日20ミリグラムを5~8年間摂取し続けると、肺がん、前立腺がん、脳出血、心臓血管病のリスクが増加するという報告もある。
「野菜や果物から摂取する分には副作用の心配はありません」

■カルシウム

 骨や歯の主成分で、人間にとって欠かせない栄養素として知られている。骨粗しょう症予防のため、サプリで補充している人も多い。

 しかし、過剰に摂取すると高カルシウム血症になり、腎結石が作られるリスクが高まる。また、血管の細胞組織の石灰化が進み、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全などのリスクが高まるという報告も。成人の場合、摂取量は1日1000~1200ミリグラムが望ましい。

「摂取が推奨されてきたカルシウムは、パンや菓子など、さまざまな食品に添加されています。あえてサプリなどで補充する必要はありません」

■セレン

 強力な抗酸化作用があり、老化防止や生活習慣病の予防に有効だといわれている。摂取上限値は1日350マイクログラムで、過剰摂取すると、胃腸障害や神経障害を起こしたり、髪の毛が抜け落ちる人もいる。

■脂溶性ビタミン

 ビタミンA、D、E、Kといった水に溶けないビタミンは、尿などで体外に排出されず体内に蓄積されるため、過剰摂取に注意したい。
「A」は上限値が1日3000マイクログラム。過剰摂取すると吐き気や頭痛が起きたり、中枢神経系に悪影響を与える。
「妊婦が過剰摂取すると、赤ちゃんの先天性異常を引き起こすことが報告されています」

「D」はカルシウムの吸収を促進するため、過剰摂取すると筋肉や腎臓にカルシウムが沈着し、腎臓結石の原因になる。上限値は1日50マイクログラム。
「ビタミンCなどの水溶性ビタミンは多めに摂取しても尿などで排出されますが、それでも、過剰摂取は下痢や吐き気、筋肉疲労を促進します」

 健康食品には効能も害もあるのだ。

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