患者負担が大幅減 手術を受けるなら「ERAS」病院

「同じ手術を受けたとしても、ある病院では1週間で退院できるのに、ある病院では退院まで1カ月かかるケースがあります。科学的根拠がない無駄な医療行為を慣例で行っている病院の場合、必要のない絶食や投薬によって、しばらく寝たきりで安静にしていなければならず、患者の回復力も遅れてしまうのです」

■普通の生活に早く戻れる

 一方、ERASを導入している病院では、どこでも同じ水準の必要最小限の医療行為を受けるだけで済む。
「患者さんの負担は大幅に減ります。手術後、短い期間で食べたり動いたりできるので、入院中も通常に近い生活ができる。それだけ早く普通の生活に戻れます」

 たとえば、大腸がんの手術を受ける場合、従来通りの病院では〈入院前のカウンセリング〉から〈予後の調査〉まで15項目の医療行為が行われているのに、ERASを導入している病院では、不必要な〈絶飲食〉〈投薬〉〈医療処置〉が削られ、11項目で済むケースもある。それだけ、「食べられない、動けない、痛い」という患者の負担が減るわけだ。

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