レントゲン異常なし その腰痛は内臓疾患が原因だ

 腰痛持ちは結構多いが、それは年齢や一時的な疲れのせいばかりだろうか? 実は痛みの原因が骨や筋肉以外のところにあるケースは少なくない。痛みの専門家に詳しく話を聞いた。

「腰の痛みを訴えて来る患者さんの中には、内臓系疾患が原因の方が少なからずいます。整形外科などを受診して、レントゲンを撮っても異常がないと言われたような人は、まずこれを疑ってかかりますね」

 こう言うのは、東京・豊島区のペインクリニック内科「寺田クリニック」の寺田壮冶院長だ。

「原因が内臓からくるものかどうかは、血液検査やMRIなどですぐ分かります。ただし、厄介なのは骨や筋肉からくる痛みと、内臓系疾患の痛みの感じ方が似ているということ。どちらも、ドーン、ドーンと体に響くような痛みで、区別がつきにくい。ですので、原因が分からないまま、とりあえず湿布を貼ってごまかしているという人がけっこう多いんです」

 寺田院長によると、腰痛を伴う内臓の病気でありがちなのは「大腸がん」「肝炎」「すい炎」「腎炎」など。その他、「胃炎」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」「尿道結石」「膀胱がん」「腹部大動脈瘤」などなど、主な内臓系の病気のほとんどが腰痛を伴うと考えていい。

 女性の場合は甲状腺の病気や骨粗鬆症でも腰痛を伴うことがあるという。

■ストレス性疾患も

 内臓疾患が原因の腰痛に加え、「近頃増えている」と寺田院長が続けるのがストレス性疾患による腰痛だ。レントゲンで異常がない、血液検査やMRIでも内臓に異常は認められない。そういう場合、「心」に原因がある可能性が浮上する。

「つまり、ストレスが腰にくるんです。痛み方は、骨や筋肉、内臓の痛みと違い、チクチク、チリチリ、ジンジンという感じ。ただし放っておくとジーンジーンと響くようになり、果てはバーンバーンと激しい痛みに襲われ、歩けなくなることもあります」

 治療法としてはカウンセリングの他、痛みに効く抗うつ薬などを処方することがあるという。

 抗うつ薬? なぜか尻込みしてしまうが…。

「腰痛の陰で“うつ病”も進行。気づいた時は自殺など最悪の結果を迎える可能性もありますので、早めの処置が必要です」

 他にも、免疫疾患であるリウマチや、線維筋痛症という難病でも、腰に激しい痛みが襲う。

「40歳を過ぎて、整形外科で原因が分からないと言われた方は、そこで諦めず、内科やペインクリニック、心療内科、漢方内科など、さまざまに受診してみることをお勧めします」

 放置しないのが鉄則だ。

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