アレルギーで悩むなら古いカーペットやソファを捨てる

 なかなかよくならないアレルギー疾患を持っている人は、大人も子供もダニとの関連を疑うべきだ。アレルギー疾患の6~9割はダニが原因だというのだ。

 これから気温が上がるにつれ、ダニは増殖する。ダニをはじめ、人間の病気の原因になる虫の研究を40年以上行う「ペストマネジメントラボ」の高岡正敏氏(医学博士)に話を聞いた。

 特に問題となるのは、家のチリをえさに増殖するチリダニだという。
「全国の家庭のゴミにいるダニを数多く調査してきましたが、チリダニはどの家庭にもいます。チリダニが好む環境は、人間が快適と思える環境と一致しており、どんなに清潔な部屋でも、確実に生息しています。ベッドのクッションの1平方メートル当たり3万~4万匹のチリダニが検出されたこともありました」

 喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状は、アレルギーの原因になる物質(アレルゲン)に対する特異な抗体を持っている人などに起こる。花粉症の人は、スギやヒノキなどの花粉に対する抗体を持っていて、ネコやイヌの毛のアレルギーの人は、ネコやイヌの毛に対する抗体を持っている。

「何らかの抗体を持っている人を調べると、かなりの割合でチリダニに対する抗体も持っていました。花粉症の人を対象にした調査では、約8割にも上ったのです」

 スギやヒノキの花粉アレルギーなら、季節が限られる。ネコやイヌの毛のアレルギーなら、ネコやイヌを避ければいい。しかし家庭のどこにでもいるチリダニは、触れないのはほぼ不可能だ。結果、チリダニと日常的に接することで、何らかのアレルギー症状が出る。

 高岡氏の「ペストマネジメントラボ」では、医療機関などの紹介で、「ダニ相検査」というものを行っている。アレルギー疾患の患者の自宅に出向き、20カ所ほどのゴミを採取し、その中のダニの数を調べ、住環境の改善をアドバイスする。

「1グラムのゴミに10マイクログラム(10万分の1グラム)のダニアレルゲン物質があるとアレルギー症状が出ることが、国内外の研究で明らかになっています。検査でわかったダニが多い場所を改善するだけで、難治性のアトピー性皮膚炎の7割が改善したとの報告もあります」

■掃除や洗濯では根絶できない

 では、どこにダニが多く、どんな対策を講じればいいのか。
「特に多いのは、寝室、衣類を置いているところ、リビングの3カ所。ダニ対策の基本は、増殖を防ぐ、家にいるダニの数を極力減らす、です」

 具体的には、チリダニのエサになるチリやホコリを頻繁に掃除。布団はこまめに干し、掃除機をかける。マットレスなども掃除を怠らないようにし、早めのサイクルで買い替える。シーズン中ほとんど着なかった衣類は処分し、保管したいものは密閉容器に乾燥剤と一緒に密閉し、外に出しておくのはよく着る衣類だけにとどめる。

 リビングはソファ、クッションが要注意。ダニが中に入り込みにくい革や合皮製に。布地のものはNG。カーペットはダニの温床になるので、アレルギー患者がいる家庭では使わない。
「ダニはめったなことでは死滅しません。たとえば、ダニがついた布を洗剤液に1週間つけても完全には死滅せず、洗濯機や掃除機を使っても必ず生きたダニが残ります」

 そして、1匹のメスダニは生きている間に100個程度の卵を産むので、数カ月後には莫大な数に増殖する。

「すでに大量のダニが増殖している寝具、カーペット、ソファなどは、いくら対策を講じてもダニを除くのは難しい。処分も考慮に入れた方がいい」

 ちなみに、ペストマネジメントラボのダニ相検査は4万円弱だ。





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