しかし、一般の人はもちろん、医師の間でも完全に認知されているとは言い難く、個々の患者に適切な診断や治療が行われているとはいえない状況だ。冒頭の(2)のように、機能性ディスペプシアは器質的疾患がないからこそ、そう診断されるのだが、「異常なし。治療の必要がない」とみなす医師もいれば、数種類の胃薬を同時に処方する医師もいる。
「“気のせい”は“機能性”と冗談で言うほど、理解を得られていないのがこの病気なのです」
(1)と(2)に当てはまり、病院を受診したのに一向に症状が改善されないようなら、機能性ディスペプシアとして前向きに治療してくれる医師を探すべき。消化器内科医であっても、だれもが胃の機能性疾患に精通しているとは限らない。
■症状の変化を見ながら最適な薬を探っていく
機能性ディスペプシアと診断されると、ヘリコバクター・ピロリ菌がいる場合は、まずピロリ菌の除菌治療が行われることが多い。