佐野実氏だけじゃない…中高年が蝕まれる“複合汚染”

 有名ラーメン店「支那そばや」の店主で、“ラーメンの鬼”としてテレビ番組にも出演していた佐野実氏が11日、多臓器不全で亡くなった。享年63歳。糖尿病を患っていて、2月中旬から入院していたが、病室でも「支那そばや」のラーメンを口にしていたという。

 ラーメンは子どもからお年寄りまで愛される国民食だが、健康的なイメージはない。6年前には、新横浜ラーメン博物館の広報だった武内伸氏も肝硬変で亡くなっている。「3食ラーメン」生活を送っていたラーメン王。48歳の若さだった。

 医学博士の米山公啓氏は「ラーメンの特徴はカロリーの高さと塩分の多さ。塩分の過剰摂取とがんの関係は医学的に証明されています。やはり、控えめに食べるのがいいでしょうね」と言う。

■「41歳寿命説」に現実味

 最近は佐野氏と同じぐらいの年齢で亡くなる有名人が多い。女優の安西マリアさん(享年60)がそうだし、蟹江敬三さん(同69)、大滝詠一さん(同65)もまだ若かった。みんなの党の藤巻幸夫参院議員(同54)はさらに年下だ。問題は塩分だけじゃないだろう。

 1990年には、1959年生まれ(今年の誕生日が来て55歳)以降の人の平均寿命は41歳だとする書籍「41歳寿命説」が話題になった。子どものころに防腐剤、着色料、保存料などの添加物や農薬を摂取し始めた世代は早死にすると説いた本だ。

 実際、戦後の1948年に60品目だった添加物は、60年代には約350品目になり、今や1500品目ぐらいまで増えている。それだけに気になってしまう。「危険食品読本」の著書がある食品ジャーナリストの椎名玲氏が言う。

「今の40~60代は、子どものころに高度経済成長期を迎えています。主婦も働きに出るようになった世代。家庭では食生活に手間を掛けられなくなり、そこにレトルトカレーやインスタント麺が出てきた。しかも、今ほど製造者が食品の安全性に意識がなかったから、危険な食品添加物がいくつも使われていた。そんな食品を摂取すれば、体は複合的に汚染され病気を引き起こしかねません。また、化学物質は経皮吸収もします。化粧品やシャンプーに含まれる成分でも病気につながるケースがある。乳がんが増えたのも経皮吸収によるものだとの指摘があるくらいです」

 長生きしにくい時代である。

関連記事