昨年保険適用 大動脈弁狭窄症の新治療法「TAVI」とは?

 TAVIは、太ももの付け根に1センチ弱の小さな穴を開け、そこから鉛筆ほどの太さに折りたたまれた生体弁を装着したカテーテルを入れ、大動脈を通って心臓まで運ぶ。生体弁が大動脈弁の位置に到着したら、バルーン(風船)を膨らませ、生体弁を広げて留置し、カテーテルを抜き取る。

 太ももの血管が細い人は、肋骨の間を小さく切開し、そこから生体弁を装着したカテーテルを入れる。後は、太ももから入れる場合と同じだ。

「TAVIなら心臓にメスを入れることもなく、心臓も止めないため、高齢で体力が低下していたり、ほかの疾患を併発している患者さんでも受けられる。入院期間は平均1週間。早い人なら3日で退院できます。開きが悪くなった弁が新しい生体弁に変わるので、手術直後から息苦しさなど全ての症状が消えます」

 現在、TAVIは世界中で10万人以上に行われている。体への負担が少ない治療法とはいえ、脳卒中や血管破裂、大量出血などの合併症のリスクはあり、いち早くTAVIが行われているヨーロッパでは、術後30日間の死亡率は5%。ただし、TAVIを受けなければ、前述の通り2年で50%が死亡する。

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