逆に心臓に血液を戻す時は、膨らんだ動脈が元に戻ろうとする力が弱いため、拡張期血圧=最低血圧は下がる。さらに、血管内に血液をためておく容量も減っているので血圧を維持できない。
高齢者の血圧は上が高くても下は低いから、下手に降圧剤を飲むと下がりすぎてしまうのだ。
■大ケガするリスクが30~40%増
「血圧を下げすぎると、冠動脈血流が低下して、狭心症や心筋梗塞を誘発するリスクがあります。腎臓の血流低下によって腎機能が悪化したり、長期的には、かえって心臓血管病のリスクが増加するという報告もあります」(都内の循環器専門医)
起立性低血圧によるめまいや立ちくらみ、ふらつきによる転倒も、高齢者には危険だ。
米国の研究では、降圧薬を服用している高齢者は、服用しない高齢者に比べ、転倒後に股関節や頭部を骨折するなど、大きなケガをする可能性が30~40%高いという。