食生活の欧米化で急増 「前立腺がん」甘く見ると死の恐怖

 ジャズピアニストで、日本のラテン・フュージョンの草分けとして知られる松岡直也氏が死去した。享年76。名盤「マジョルカ」を発表し、中森明菜などに楽曲を提供した同氏の命を奪ったのは前立腺がんだった。公式サイトによると、松岡氏は2001年に病気が見つかったが、音楽活動を継続。今年3月末ごろ、体調が急変して入院し、29日に川崎市内の病院で亡くなった。

 最近、「前立腺がんが増えている」というニュースをよく耳にする。1975年に2000人程度だった患者は2006年には4万2000人に激増。20年には7万8000人を超えるとみられている。

 医学博士の米山公啓氏が言う。
「前立腺は膀胱(ぼうこう)と尿道に接している器官です。尿道の根元にがんができた場合はオシッコが出にくくなったり、夜中に4、5回トイレに行くといった症状がみられますが、膀胱の奥にできると自覚症状がなく、知らないうちに進行したりします。痛みもありません。怖いのは腰の骨や脊髄に転移するケース。腰痛などで医者にかかり、初めてがんの転移が見つかることが少なくないのです」

 原因はハッキリしないが、肉や乳製品など欧米風の食生活をする人や、サドルが前立腺を刺激する乗馬、自転車に乗る人に患者が多いことが分かっている。射精する機会が少ない男性も要注意というから、他人事ではない。
「予防のために、60歳を過ぎたら人間ドックなどでPSAという血液の検査を受けることをお勧めします。オシッコの出が悪くなり、“前立腺肥大だ”と軽く考えると、がん発見が遅れかねません。肉食などを減らし、トマトなど緑黄色野菜を食べるようにしてください」(米山公啓氏)

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