年間2万人死亡…WHOが警告する食肉経由「耐性菌」の怖さ

 先月末、WHOが「世界中で強力な抗生物質でさえ効かない耐性菌が拡大している」と、114カ国のデータを基に作成した報告書をまとめた。

 日本や英国など10カ国の淋病患者やアフリカなどの肺炎桿菌(かんきん)患者に抗生物質を投与しても効かなかったといい、原因は抗生物質の過剰服用や薬の誤使用とされていた。だったらオレは大丈夫と思った人も少なくないだろうが、実は「食肉から摂取される耐性菌」というのがあるのをご存じか。

■家畜は“薬漬け”

 NPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏はその危険性をこう指摘する。
「日本や中国、米国では、牛や豚などの家畜を経済性を最優先して“薬漬け”にします。抗生物質で家畜はむくんで大きくなるため、早く市場に出せるのです。そこで、家畜にも耐性菌ができるのですが、厄介なのは、食肉の耐性菌はすぐに人間の遺伝子に入ってしまうことです」

 そのため小若氏は、人に使われる抗生物質だけではなく、牛、豚、鳥への使用量も把握し、規制する必要があると言う。

「すでに12年前に家畜の抗生物質も調査し、順天堂大の平松啓一教授が耐性菌で亡くなる日本人は年間約2万人と試算しています。その後の調査はありませんが、もっと増えていると思います。欧州では家畜の抗生物質使用は厳しく規制されています」

 牛肉や鶏肉を食べているだけで抗生物質が効かなくなるなんて…、ちょっと怖い。