病気になりたくなければ怒りを手放せ

「キレ防止スイッチ」を作っておく

普段あまり触れない部分を押してみよう
普段あまり触れない部分を押してみよう/(C)日刊ゲンダイ

「カッとなってつい怒鳴ってしまった」「頭に血が上って辛辣な言葉を浴びせた」……。こうした「キレる」状態は社会人ならば絶対に避けたいもの。日本の会社組織では、一度キレてしまうとその後始末が大変です。謝罪して表面上は許してくれたとしても、相手に「傷つけられた」と恨みが残ったり、「感情が不安定な人」と陰口を言われたりするケースは珍しくありません。

 そこで、キレないためのコツを紹介します。

 まず、二の腕や肘の内側、指の股など普段はあまり触れない体の部分を1カ所選びます。指圧すると「ちょっと気持ちいい」ところがおすすめ。そこをあなたの「キレ防止スイッチ」に決めます。

 そして、そのスイッチを何度か指で押しながら、最高に気分が良かった経験をひとつしっかりと思い浮かべます。視覚的イメージだけではなく、できるだけその時の感覚も蘇らせてください。例えば、ペットや彼女と戯れているフワフワした温かさとか、海や緑の自然の中で思い切り深呼吸している爽快感といった“感覚”です。

 自分の「キレ防止スイッチ」を指圧すれば、そのイメージや感覚が反射的に頭に浮かぶようになるまで何度も練習しておきましょう。1週間ぐらい繰り返して体に刷り込んでおくと万全です。

 そうやって完成させた「キレ防止スイッチ」を、カッとなった時にすかさずグッと押してみてください。怒りの対象にギュッと一極集中していた五感が、スイッチを押すことでまったく別の触覚や視覚に一部が置き換わります。この「感覚の変化」が怒りの沸騰を抑え、キレを予防するのです。

 一種の自己暗示術的な方法ですが、手軽にできるのでおすすめです。

▽奥田弘美(おくだ・ひろみ) 精神科医。日本医師会認定産業医。山口大学医学部卒。都内20カ所の企業でビジネスパーソンの心身のケアを行いながら、「銀座スキンクリニック」ではコーチング・カウンセリングも行う。著書多数。5月には新著「女医が教える 働く男の怒りと疲れをパワーに変える処方箋」(メディカルトリビューン)を発売。