不登校の原因にも 大人とはまるで違う子供の片頭痛サイン

写真はイメージです/(C)日刊ゲンダイ
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 近年、国際的に認められたのが「子供の片頭痛」だ。ところが日本では認知度が低く、頭が痛いといって受診しても「風邪でしょう」と風邪薬を処方されるケースが珍しくない。子供の片頭痛について、東京女子医科大学脳神経センター頭痛外来・清水俊彦客員教授に聞いた。

 子供の片頭痛は早ければ幼稚園児くらいから見られるが、大人の片頭痛とは相違点がある。それが、正しく診断されないことにつながっているという。代表的な相違点は、次の4つだ。

(1)いきなり始まり、短時間で治まる

「1時間ほどで治まる子供もいます。さっきまで具合が悪そうだったのに、急に元気になるので、仮病と間違えられる子供もいます」

(2)お腹の症状が強い

 片頭痛の発作には、神経伝達物質のセロトニンが関係している。
「セロトニンは受容体という鍵穴にはまって細胞に作用しますが、子供は脳のセロトニン受容体が未発達のため、頭の痛みを感じにくい。しかし、セロトニンは消化管の粘膜にも存在するので、吐き気や嘔吐(おうと)などお腹の症状だけが強く出ることがあるのです」

(3)緊張型頭痛と似た痛み方をすることがある

「大人の片頭痛はズキンズキンという痛みですが、子供の場合は、頭全体が締め付けられるような症状であることがあります」

(4)平日の発症が多い

「片頭痛はストレスから解放された時の方が発症しやすい。だから大人は週末に発症しやすい。一方、子供は学校がストレス要因で、日々のストレスから解放される平日の学校帰りや帰宅後に発症しやすい」
 週末は学校が休みなので、ストレスの増減がなくなり、むしろ頭痛は起こりにくい。

■ズル休み、怠け病を疑われるケースも

 片頭痛の子供の患者には、適切な治療を受けられないままに症状が悪化・長期化して、週1、2回しか登校できなくなったり、病院を転々としてさまざまな薬を処方され続けてきたり、ズル休みや怠け病を疑われたり、といったケースが珍しくない。

 子供の片頭痛の起こり方には3つのパターンがあるという。
「まず、朝食を抜いて学校に行き、昼前に低血糖になって発作を起こすパターンです。
次に、体育の授業中に外気温が高かったり、体を動かして血管が急激に広がって発作を起こすパターン。さらに、学校がストレスになっていたり、逆に学校が好きで張り切りすぎて、学校帰りや帰宅後に発作を起こすパターン。もし、お子さんに最初に挙げた4つの特徴が見られ、さらに、この3つのパターンのどれかに当てはまるなら、子供の片頭痛治療に力を入れている頭痛外来を受診した方がいいでしょう」

 治療は、大人の場合と同様に、痛みの程度を軽くする予防薬と、つらい症状を軽減させる頓服薬の服用だ。予防薬では、抗セロトニン薬の塩酸シプロヘプタジンや抗てんかん薬のバルプロ酸ナトリウムなど。頓服薬はトリプタン製剤だ。

「トリプタン製剤は、海外の使用経験をもとにしながら、10歳前後を目安に頭痛の程度や健康状態を見ながら処方しています」

 これらの治療で、それまでと一転して、充実した学校生活を送れるようになる子供は多いという。
 もしかして我が子も……と思ったら。

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