健康医療データの読み方

在宅死 トップは兵庫、最下位は大分

写真はイメージです/(C)日刊ゲンダイ
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 病院で8割の人が亡くなる時代。在宅死の全国平均はわずか12.8%だ。

 ただし関西と南関東(東京・神奈川・千葉)で在宅死の割合は高く、北海道と九州で低くなっています。

 2012年の統計で1位は兵庫県(16.6%)、最下位は大分県(8.6%)。実に2倍の開きがありました。

 しかし、理由ははっきりしません。高齢者の割合、高齢単身世帯数や、医師数、病院数などと関連付けようとしてもうまくいきません。県民性や歴史的・文化的要因に帰すよりほかになさそうです。

 ただ、行政側はこうした数字に敏感です。在宅死を望む人が6割近くいることや、国が在宅医療・在宅みとりを推進していることもあって、全国的に在宅死を増やす取り組みが活発化しています。

 とりわけ有力視されているのが在宅療養支援診療所です。06年から導入された制度で、24時間対応で往診可能などいくつかの条件を満たした診療所が申請することができます。患者を在宅でみとると数万円の診療報酬が上乗せされるなど、さまざまな特典が得られます。まずは医療提供側に強いインセンティブを与えて、在宅死を推進しようという政策です。

 在宅療養支援診療所が増えたことによって、在宅死も徐々に増え始めています。制度が始まった06年の在宅死は過去最低の12.2%。それが12年には12.8%に増えました。たった0.6ポイント増か、と思う方もおられるでしょうが、この変化は重要です。

▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

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