平均寿命男女とも日本一 長野県知事が語る「長寿の秘訣」

阿部知事も鼻高々?/(C)日刊ゲンダイ
阿部知事も鼻高々?/(C)日刊ゲンダイ

 厚生労働省の「2010年 都道府県別平均寿命」によれば、全国1位は男女ともに長野県で、男性80.88歳、女性87.18歳。長野県民はなぜ長生きできるのか。「長野県の長寿力」(ワニブックス)の著者で長野県知事の阿部守一氏に、その秘訣を聞いた。

 長野県が“男女ともに”全国1位になったのは、実は10年が初めて。厚労省が1965年から5年ごとに作成している「平均寿命の推移」を振り返ると、男性は90年から5回連続1位だが、女性がようやくベスト5入りしたのは90年。いつ、何がどう変わったのか――。

 65年の調査で、長野県は脳血管疾患による死亡率が全国ワースト1だった。原因は、主に塩分摂取量の多さ。昔から食べ物を塩漬けにして保存する食習慣が高血圧を引き起こし、脳卒中につながったのだった。81年、大々的な“県民減塩キャンペーン”が張られた。

「特に減塩効果が上がったのは『具だくさん味噌汁』運動です。味噌汁の具を多くすることで、塩分を含む汁を減らすのが目的でした。食生活改善推進員をはじめとする地域ボランティアの方々と住民の皆さんが、一体となって取り組んでくださいました」

 その結果、84年には成人1日当たりの平均塩分摂取量が、80年当時の15.9グラム(小さじ約3)から11グラムへと減少。90年の都道府県別平均寿命では、男性が77.44歳(全国平均76.04歳)で全国1位、女性は82.71歳(同82.07歳)で9→4位とランクアップ。着実に効果が表れた。

■農家と温泉の数も好影響

 長野県にはさまざまな“全国1位”がある。

「10年の調査で成人1日当たりの野菜摂取量が男性379グラム、女性353グラムで、ともに全国1位でした。その背景にあるのは11万戸以上という、全国一の総農家数でしょう。全国シェア1位のレタスやセロリ、ナメコやエノキ、ブナシメジなどを新鮮な状態で食べられますから。野菜やキノコは低カロリーで、ビタミンやミネラルといった栄養分や食物繊維を多く含む食べ物です」

 そして長野県は“温泉大国”でもある。

「野沢、別所、浅間、上諏訪、昼神など、長野県内には607カ所もの日帰り温泉があり、これも全国一です。温泉に入ると副交感神経が優位になったり、血行が良くなって、心身ともに健康状態になることが分かっています」

 長野県といえば、野沢菜漬けや信州みそ、醤油といった発酵食品、さらに寒天、そば、わさび、日本酒などの生産地として有名。これらの食品も長寿の一因かも。

 ちなみに、厚労省の12年の統計では、65歳以上の男女の就業率も全国一(男性38.5%、女性19.7%)。

 きょうから“長野県民風”生活を実践してみたい。

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