実際の現場では症状、気質、生活スタイルなど事細かに聞き、幾通りもの道筋をたどって適した漢方薬を処方するので、ごく単純に表現するなら――ということだが、「処方された漢方薬が同じでも、日本の漢方と中医学とでは、〈なぜそれを選んだか〉が違ってくる」とのことだ。
「日本で東洋医学をやっている薬剤師がみんな、日本の漢方を学んでいるわけではありません。師事する先生などによって違います。自分に合った薬局、薬剤師を選ぶことが大切です」
――中国で購入した漢方薬は飲んでも問題なし?
「安全性の十分な検査を介していなかったり、表示されていない成分が入っていたりする可能性があります。偽物も多く流通しています」
日本で購入した方がよさそうだ。
漢方薬を構成する生薬は、土地特有の気候風土に育まれるため、伝統的によい産地というものがあった。しかし、中国の経済成長に伴う環境汚染や工業化、土地の砂漠化などで、良品とされてきた場所の生薬が手に入りにくくなってきている。