肺炎や食中毒の原因に 歯ブラシトラブルを防ぐ7つの習慣

歯みがき後のケアも大切/(C)日刊ゲンダイ
歯みがき後のケアも大切/(C)日刊ゲンダイ

 上手な歯磨き法は知っていても、歯ブラシを清潔に保つ保管法を知らない人は多いのではないか。いくら歯磨きを頑張っても、細菌だらけの歯ブラシでは、かえって病気を呼び込むことになりかねない。自由診療歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。

 毎日使っている歯ブラシは想像以上に汚れていて、汚れたスリッパの底や残飯容器の1万倍以上の細菌がいるという。
 実際、英国マンチェスター大学の調査によると、歯ブラシに付着している細菌の数は1億以上で、ブドウ球菌なども含まれているという。

「そもそも、口の中に生息している細菌は500種類以上。その数は、よく歯を磨く人で1000億前後、あまり磨かない人でその数倍といわれています。その意味で歯ブラシが汚れているのは当然です」

 ならば少々、歯ブラシに細菌が付着したとしても、神経質になる必要はなさそうに思うのだが…。

「それは違います。汚れた歯ブラシを放置すれば、細菌が歯ブラシ上で繁殖、それを使えば口腔内の細菌のバランスが崩れ、歯周病や虫歯などのトラブルを長引かせかねません。新たな種類の細菌を侵入させることで、食中毒など新たな感染症を引き起こす可能性もあるのです」

 医学の世界では肺炎や動脈硬化、がんなどあらゆる病気の背景には感染症があるとの見方は根強い。その意味で細菌だらけの歯ブラシは避けた方がいいに決まっている。

 では、使用中の歯ブラシはどう保管すればいいのか? 

「歯ブラシを徹底的に乾かすことです。使用後にティッシュで拭いたり、水切りして風通しの良い場所に置きましょう。口の中の常在菌は大きく2つある。酸素が必要な好気性菌、逆に酸素を嫌う嫌気性菌です。とくに体に悪さをする嫌気性菌が問題で、濡れたままの歯ブラシでは表面を好気性菌が覆い、その下で嫌気性菌が劇的に増殖する。乾燥で嫌気性菌が減るわけではありませんが、増殖は抑えられます」

 ただし、直射日光やドライヤーで乾かしたり、熱湯で“殺菌”しようとしてはいけない。ブラシの素材を劣化させ、清掃能力を低下させるからだ。

「歯ブラシを使用前と後に洗口剤につけて軽く洗うといいでしょう。細菌数を減らせます」

 家族全員の歯ブラシをひとつのコップで保管する家庭も多いが、おすすめできない。
「家族といえども、口腔内にすむ細菌の種類と割合は別。ブラシ部分がくっつくことで各自の口腔内の環境が壊れ、不調の原因になることも考えられます」

■ユニットバスは要注意

 トイレとお風呂が一体になったユニットバスに歯ブラシを置いている人は即刻やめるべきだ。

「濡れた歯ブラシに口腔内にいない細菌が付着して増殖することもあるからです。サルモネラ菌や大腸菌などの食中毒、レジオネラ菌や耐性黄色ブドウ球菌などの肺炎を引き起こす菌が代表的です。トイレは使うたびに目に見えない水が飛んでいるものです」

 歯ブラシキャップは使い方を気をつけたい。
「濡れたままの歯ブラシをキャップにつけるとキャップ内で細菌が増殖します。キャップは持ち運びのときにのみ、歯ブラシが十分乾いた状態で使いましょう」

 なお、歯ブラシは使い続けると清掃能力が低下し、汚れもひどくなる。歯ブラシは1カ月、電動歯ブラシは3カ月を目安に交換することだ。
 当然のことだが、歯ブラシスタンドはよく乾燥させ、小まめに清掃しよう。

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