診断まで10.3年 治らない腰痛は「強直性脊椎炎」だった

時に激しく痛む/(C)日刊ゲンダイ

 同大学膠原病・リウマチ内科の多田久里守助教は「強直性脊椎炎の患者さんを診ると、<腰椎ヘルニアと診断されて手術を受けたが、一向によくならなかった>とおっしゃる方が結構います」と話す。

 強直性脊椎炎は、そうある病気ではない。読者の中には「縁のない病気」と思う人もいるだろう。しかし、初期の症状は“よくあるもの”。実際はこの病気なのに正しい診断を受けていない人が珍しくない。井上医師は「(前出の147回答中)診断までに要した時間は平均10・3年。受診した施設は平均4・7施設」と話す。

 強直性脊椎炎は男女比が3~4対1と、男性が多数を占める。大半は40歳以前に発症。

「50代で来院する患者もいますが、よく話を聞くと、10~20代で頑固な腰痛があったと言います」(井上医師)

 症状の特徴は、時に転げ回るほど痛いが、ケロッと治る。痛む場所が移動する。運動で痛みが改善し、安静で改善されない。夜間に痛みが起こりやすい。10~20年かけて進行し、次第に脊柱の運動制限が出てくる。

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