そもそも角膜は5つの層からできている透明の膜で、角膜内皮細胞はその一番内側にある。角膜は水分が染み込むと濁る。染み込んできた水を常にくみ出して、角膜の透明性を保つ、ポンプのような働きをするのが角膜内皮細胞だ。
問題は、この細胞は一度死ぬと二度と再生せず、どんどん数が減っていくことだ。
「1平方ミリ内に2500~3000個が普通ですが、一定の数(800個程度)以下になると角膜を透明に保つことができずに、白く濁ってくる。そうなると、亡くなった人の健康な角膜を使う角膜移植を選択するほかなくなります。また、角膜内皮細胞の数が少なすぎると、手術のダメージでさらに数が減るため、“白内障手術は難しい”ということになるのです」(清水主任教授)
加齢による角膜内皮細胞の減少は年間0・5%程度。問題はそれ以外の原因だ。