腎臓病、リウマチ、潰瘍性大腸炎…鼻うがいで病気は治る

しっかりゴロゴロゴロ…/(C)日刊ゲンダイ
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 鼻の穴の奥を水で洗い流す「鼻うがい」で、さまざまな病気が治りやすくなるという。腎臓内科専門の「堀田修クリニック」堀田修院長に聞いた。

 人間の喉は「上咽頭」「中咽頭」「下咽頭」の3つに分けられる。一般的に行われている「うがい」は口の奥の中咽頭を洗うもので、あまり効果がないという。

「外から侵入したウイルスや細菌といった害となる異物をキャッチするのは、ツルッとした扁平上皮の中咽頭ではなく、ボコボコした繊毛上皮の上咽頭です。そこに付着した異物を洗い流すには『鼻うがい』が有効なのです」

 上咽頭の表面にはたくさんのリンパ球が待機していて、異物をキャッチするとすぐに攻撃を始める。すると炎症が起きて口の奥の喉に痛みを感じるが、実際に炎症を起こしているのは鼻の奥の上咽頭だ。上咽頭は非常に敏感で、細菌やウイルスだけでなく、花粉やほこり、喫煙の刺激などでも炎症を引き起こす。

 この炎症は、風邪の他にもさまざまな病気の原因になるから注意が必要。炎症が長引き、慢性上咽頭炎になると、最悪の場合、腎症、リウマチ、潰瘍性大腸炎といった病気を誘発する。
 細菌などに感染した病巣が体の離れた部分に病気を引き起こす「病巣感染」という現象が起こり、長引く炎症が自己免疫システムの誤作動を招く。細菌などを攻撃していた病巣の好中球やマクロファージと呼ばれる白血球が、病巣が発する間違った指令によって血液に乗って全身に移動し、今度は自分の体の臓器などを傷つけてしまうのだ。

■歯と扁桃が危険スポット

 中でも、病巣になりやすい場所として知られるのが歯と扁桃だ。歯周性病巣は心疾患、扁桃の炎症は腎臓の血管が破れるIgA腎症の原因といわれている。

「IgA腎症の場合、まずは病巣になっている扁桃を摘出します。これで間違った指令のもとを断てますが、白血球の“自爆攻撃”はその後も続く。それを抑えるため、ステロイドホルモンの投与を併用した『扁摘パルス』を行いますが、血管破壊が収まらず血尿が続くケースが2割ほどあるのです。そこで、上咽頭が新たな病巣になっている可能性を考え、塩化亜鉛を上咽頭に塗布する治療を実施したのです。実際、血尿が続いていた2割の患者さんも完治しました」

 塩化亜鉛の塗布治療に効果があったということは、上咽頭もIgA腎症の病巣となっていることを証明している。

「他にも、リウマチ、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、花粉症など、一部の自己免疫疾患も上咽頭が病巣になっているケースが多くあります」

 さまざまな病気の原因となる上咽頭の炎症を防ぐために効果的なのが「鼻うがい」だ。病状が進行している場合は塩化亜鉛処置が必要だが、初期段階なら鼻うがいが寛解の大きな手助けになるという。

 堀田院長が推奨する鼻うがいの方法は、水に食塩を少量混ぜて鼻から吸い込み、そのまま飲み込むだけ。食塩水なら吸い込んだ時の痛みがなく、誰にでも実践できる。ただし、鼻うがいの直後に鼻をかむと中耳炎になる可能性があるので注意が必要だ。

 鼻うがいだけでなく、外気の刺激が上咽頭を直撃する口呼吸や、喫煙などの悪習を改善することも心がけたい。

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