郷ひろみ、三谷幸喜も…男性に“高齢出産”リスクはないの?

50歳過ぎて子作りする男性も増えたが/(C)日刊ゲンダイ
50歳過ぎて子作りする男性も増えたが/(C)日刊ゲンダイ

 先月は芸能界で50代パパが相次いで誕生、話題になった。歌手の郷ひろみ(58)は双子を、脚本家で映画監督の三谷幸喜(52 )は長男を授かった。

 過去に50歳以上でパパになった芸能人といえば、石田純一が58歳で、市村正親が59歳など。なかには人間国宝の中村富十郎のように、74歳で子宝に恵まれたケースもあった。

 50代といえばサラリーマンの場合、子供を持つには、体力的にも経済的にも難しい。それだけに、その勇気には拍手だが、気になるのは男性の高齢出産リスク。問題はないのだろうか? 「いばらきレディースクリニック」(神奈川県川崎市)の茨木保院長が言う。

「最近、患者さんによく聞かれる話ですね(笑い)。実際、高齢の父親から生まれてくるお子さんに自閉症や統合失調症などの有症率が高くなるという話は医者の間でも話題になります。お子さんが女の子の場合は乳がんや子宮がんなどの女性特有の病気になりやすい、という話もあります」

 そもそも女性は、100万~200万個の卵子を持って生まれ、その75%は思春期を迎えるまでに消滅する。しかし、生き残った卵子が受精するときには、生まれたときの本来の遺伝子が子供に引き継がれる。

「ところが、男性はまったく違います。射精のたびに数百万個の新しい精子が再生され、そのたびに遺伝子のコピーにエラーが生じる可能性があるのです」(茨木院長)

 アイルランドのゲノム研究では、高齢の父親から生まれた子供ほど、多くの突然変異を受け継ぐことが分かっている。

 米国のマウントサイナイ医科大学の研究によれば、40歳以上の男性は、30代以下の男性と比較して、自閉症の子供が生まれる確率が6倍高いという。また、子供がうつ病や前立腺がん、乳がんなどを発症する確率も、男性が高齢になるにつれて高くなる傾向にあることが報告されている。

 さらに、50歳以上で父親になった人は、20代前半で父親になった人に比べて、孫が自閉症になるリスクが1・7~1・8倍になるとのスウェーデンでの研究もある。

「もちろん、こうした男性の高齢出産リスクについての研究はまだ始まったばかり。男性の“出産適齢期”がいつか? も含め、本当に男性が高齢の場合、出産リスクがあるか否か、確たる話はありません。自閉症の子供が多い、という報告も、遺伝の問題とは別の可能性もあります。晩婚男性は内気で引っ込み思案、自閉症気味の人が多いので、単にそれが子供に引き継がれただけかもしれないのです」(茨木院長)

 とはいえ、長寿化や年の差婚の急増で、今後も社会的関心が高まる問題だ。