500万人が悩む「便失禁」 保険で症状を改善できる

「切迫性」「漏出性」がある/(C)日刊ゲンダイ

「さらに、切迫性便失禁は、筋電図のセンサーをおしりに刺し、モニターを見ながら骨盤底筋を鍛える『バイオフィードバック療法』を行います」

■欧米では20年前から行われている。「仙骨神経刺激療法」

 これらによって便失禁が改善するのは、6~7割。治療成績を上げるため、これまで欧米を中心に、足の筋肉を肛門に巻きつけて電気で刺激する治療法や、人工的な肛門括約筋を用いた治療法など、さまざまな試みが行われた。しかし、どれも有効性にバラつきがあり合併症もあるなどの理由で、日本で行われることはなかった。

 ところが今年4月、新たな治療法が保険適用になった。「仙骨神経刺激療法」だ。排便に関する神経に持続的に電気刺激を与え、便失禁の症状を改善する。欧米では20年ほど前から行われてきた。

「体外からの電気刺激を一定期間行って、十分な治療効果が見られたら、心臓ペースメーカーのような装置をおしりに埋め込み、治療を継続します。便失禁の症状が完全になくなる治療ではありませんが、日本で行われた臨床試験で、仙骨神経刺激療法開始後、6カ月で、1週間の便失禁の回数が半分以下に減少した患者さんが約8割いました」

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