市販薬で症状悪化のケースも…「水虫」正しい対策と予防法

パックリ割れたら病院へ/(C)日刊ゲンダイ
パックリ割れたら病院へ/(C)日刊ゲンダイ

「足の指の間がパックリ割れて痛いんです。市販の水虫薬で治るでしょうか?」

 これからの季節、水虫に悩む人も多いはずだ。なかには家族にうつるんじゃないかと毎日ヒヤヒヤという人もいるだろう。そこで、知っていそうで知らない、水虫の治療法について「こすぎ皮ふ科」(神奈川県川崎市)の山本亜偉策院長に聞いてみた。

「パックリ割れているということは、細菌による2次感染が考えられます。市販の水虫薬では刺激が強く、かえって悪化させてしまうことがある。じくじくがひどかったり、パックリ割れている場合は、まず病院で処方された抗生物質の外用薬を1週間程度きちんと塗って炎症を抑え、カサカサして少し剥けている程度の状態になったら、抗真菌薬という水虫薬を処方します」

 水虫は足底の角質層に白癬菌という真菌(カビ)が入り込み、角質層のケラチン(タンパク質)を餌に繁殖している状態。皮膚科では角質の一部を顕微鏡で見て、白癬菌の有無を確かめ水虫かどうか診断する。

 白癬菌がいなければ別の病気。素人判断で市販の水虫薬を使うと症状が悪化することもあるので要注意だ。

 ちなみに水虫は、正式には足白癬といい、タイプが4つある。

 指の間が白くふやけて皮が剥ける「趾間型」、土踏まずや足に小さな水疱ができる「小水疱型」、かかとの角質が厚くなりゴワゴワ皮が剥ける「角質増殖型」、爪の中に白癬菌が入りこみ、爪が変色したり爪の先がもろくなる「爪白癬」だ。

 爪白癬になると塗り薬では薬が菌まで到達しないので飲み薬を使う。その爪が全部生え替わるまで飲み続けるので治療は半年も続くそうだ。

「ただし、水虫のほとんどは趾間型です。好発するのは薬指と小指の間で、そこが一番指の間隔が狭く、蒸れやすいからです。パックリ切れるのもこのタイプ。この趾間型を放置しておくことで小水疱型→角質増殖型→爪白癬と広がるのが一般的です」

大切なのは、白癬菌が角質層から完全にいなくなるまで根気よく治療を続けること。

「しかし、多くの人は患部がきれいになると勝手に治療をやめてしまい、残っていた白癬菌が再び悪化するということを繰り返してしまうのです。“もう大丈夫だ”と思ったところからさらに1~2カ月、薬を塗り続けることが大切です」

 薬以外に、生活で注意すべきこともある。

「白癬菌は、温かく湿ったところで繁殖するので、革靴を長く履き続けたり、汗をかきやすい人や太って指の間が狭い人などが水虫になりやすい。治療のためにも予防のためにも、風通しをよくし、乾燥を心掛けることが大切です。オススメは5本指ソックス。私も愛用しています」

 ほかには、一日のうちで靴下をこまめに替えたり、毎日同じ靴ではなく、2足以上を日替わりで履くといった工夫が有効だ。また、水虫用ではないが、履くと指の間が広がる、寝るとき用の指出しソックスを愛用するのもいい。

 一緒に住む家族には、うつるのか?

「白癬菌が皮膚に付着してから角質に侵入するには、24時間ほどかかるといわれていますから、1日1回お風呂に入って、泡立てたせっけんで指の間までよく洗い流せば、感染しません。ただし、足拭きマットは別々にしましょう」

 スリッパやタオルの共用も避けた方がいいが、お風呂のお湯でうつることはなく、洗濯物を一緒に洗っても、きちんと乾かせばまったく問題はないそうだ。

関連記事