ビールをグビグビが命削る…夏こそ増える「脳卒中リスク」

酒は脱水を助長する/(C)日刊ゲンダイ
酒は脱水を助長する/(C)日刊ゲンダイ

 ネットでは「思い出に残るゲーム」との呼び声が高い「がんばれゴエモン」シリーズ。そのコミカライズ版を執筆した漫画家・帯ひろ志さん(享年54)の命を奪ったのは、心臓や呼吸の動きをつかさどる脳幹からの出血だった。脳出血は脳梗塞とクモ膜下出血とともに「脳卒中」に含められる。冬の病気のイメージがあるが、実は夏の方が発症者が多いという。

「夏は、発汗して脱水します。脳卒中を起こす人は、ベースに高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある。概してお酒が好きで、夏になるとビールを飲みたがる。ビールのアルコールにも脱水作用があって、より脱水が進みます。脱水によって血液が濃縮され、血栓ができるため、脳梗塞を起こしやすくなるのです。日本脳卒中協会が5月末の1週間を『脳卒中週間』として注意を呼び掛けているのは、脳梗塞を起こしやすい夏前に啓蒙するためです」(東京都健康長寿医療センター・桑島巌顧問=高血圧外来)

 実は、帯さんはまさに7年前の夏、8月31日に脳梗塞を起こしていた。その時に糖尿病も発覚した。一般に夏は発症リスクが下がる脳出血だが、夏に危ない脳梗塞をステップに発症することもある。

「脳幹の血管内で脳梗塞が再発した可能性はあるでしょう。糖尿病なら、なおさらです。その直後になんらかのキッカケで、血栓が飛んで、血流が再開すると、血流が途絶えていた部分の血管が破れやすい。そんな2つのことが重なって、脳幹出血を起こしたのかもしれません」(桑島巌氏)

 夏も用心だ。

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