「扁桃だけの炎症なら抗生物質で対処できるかもしれませんが、扁桃の周囲まで炎症が広がり膿がたまった扁桃周囲膿瘍以降は、抗生物質に加え、切開して膿を取り除く手術が必要です。手術後も、肉が腐り、細菌が繁殖して膿がたまりやすい状態になっているので、胸腔内にチューブを置いて圧をかけ、胸腔にたまった膿をその都度吸引する胸腔ドレナージが必要になることもあります。入院は数週間に及びます。場合によっては、どんな手もうまくいかず亡くなられる方もいるのです」
扁桃の炎症が、頚部から脊椎、脊髄へ広がることもある。手足につながる神経が通っているので、手足にマヒが出て寝たきりになる悲惨なケースもあるのだ。
「それだけではありません。病巣性扁桃炎といって、扁桃炎があるだけで、扁桃とは遠く離れた腎臓、肝臓、皮膚、関節などに悪影響を及ぼすことが分かっているのです。理由はまだ完全に解明されてはいません。腎炎がなかなかよくならなかったが、扁桃を摘出したら腎臓の炎症も改善したというケースもあります」