激しい運動は不要 糖尿病改善には半年間の「速歩き」が効く

写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
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「今より多く歩けば、激しい運動をしなくても生活習慣病はよくなる」と言うのは、「ゼロから始める『医師が教える』ウォーキング」(KADOKAWA/メディアファクトリー)の監修者、東京山手メディカルセンター・西田潤子健康管理センター長だ。西田医師はウオーキング医学研究の第一人者のもとでウオーキングによる医学的効果を研究。初心者も熟練者も、知ると得する情報を聞いた。

■生活習慣病予防・改善に「ライフスタイル・ウオーキング」

 ウオーキングには3つの種類があるという。

「運動として行うエクササイズ・ウオーキング、時間をかけて長距離を歩くロング・ウオーキング、そして日常生活の中で意識的に歩くライフスタイル・ウオーキングです。“ライフスタイル”は仕事や家事の歩きも含め、強度は低くてもある程度の運動量を保つことができ、習慣化しやすい。だから、生活習慣病予防・改善にはベストです」

 歩くための時間を特別につくったり、速足で歩いたり……といったことは不要。昼食の店を会社からちょっと遠いところにするなどでOKだ。

■今よりプラス1000歩を目安にする

 それが難しければ、「1日あたりの平均歩数が5000歩未満の人は3カ月後に平均歩数が倍になるように、5000歩以上の人は1万歩になるようにすればいい」とのこと。チャンスをみつけ、ちょこちょこ歩くようにすれば、結構簡単に達成できる。

■効果を高めたければポイントは3つ

 ①体の中心軸をまっすぐ伸ばす②ひざをすっと伸ばして足を出す③ひざとつま先が正面を向くように着地――の3つだ。

■内臓脂肪型肥満対策は“ゆっくり歩き”から

 肥満は、内臓に脂肪がつく内臓脂肪型肥満が問題。動脈硬化を招いて脳卒中、心筋梗塞のリスクを上げる。

「食事制限だけでなく、ウオーキングで運動不足を解消することが必要。激しくするとひざや腰を痛める恐れがあるので、ゆっくり歩き、毎日少しずつ歩数を増やすように」

■糖尿病予防・改善には食後1~2時間がいい

「境界型糖尿病や軽症の糖尿病にウオーキングは効果を発揮します。インスリンの働きをコントロールできるようになるからで、血糖値が高くなる食後1~2時間の間に少し速めに歩くようにするといい。最低半年続ければ、血糖を取り込む筋肉の働きが強くなり、インスリンの働きもよくなるはずです。ウオーキングによる血糖値の改善例を見ると、開始から1年後に歩数がアップしている人は、みんな血糖値が下がっています」

■高血圧の人は速く歩いてはいけない

「心臓に負担をかけてしまう。笑顔をつくれるくらいのペースがちょうどいい。事前に医師の健診を受けることも忘れずに」

■痛風なら水分補給を十分に

「痛風に効果的なのは、非常にラクなペースで歩くこと。血液循環がよくなり、尿酸の排泄効果が高まります。さらにクールダウンをしっかりすると、尿酸の排泄が促進されます。激しく歩くと尿酸値が上がる。また、汗のかきすぎで脱水気味になると、血液中の尿酸値が上がるので、水分補給を怠らないように」

 ウオーキングをするのに適した季節。やってみよう。

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