健康医療データの読み方

高血圧患者数が断然の1位

(C)日刊ゲンダイ
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 国民生活基礎調査によれば、傷病数、つまり実際に病気やケガで治療を受けているひとの数は、4756万人(2013年)と、国民の4割近くに達しています。しかも2007年(4207万人)と比べて、500万人以上も増えているのです。

 そのなかで断然1位は高血圧。人数は1111万人(2007年)、1294万人(2010年)、1437万人(2013年)。他の病気を圧倒し、唯一1000万人台を維持し続けているうえに、増加の一途をたどっています。

 これには「高血圧の基準が厳しすぎるから」という批判も上がっています。血圧の上限値が下がれば、その分だけ高血圧患者が確実に増加します。実際、過去二十数年間にわたって、基準値が段階的に引き下げられてきました。

 1980年代には、上が180を超えて、はじめて高血圧と診断されていました。そのときの患者数は、160万人ほどだったそうです。いまは上が140、下が90を超えると高血圧です。病院に行っていない潜在患者も含めれば、4000万人を超えるといわれています。逆に言えば、高血圧のひとの7割近くが病院にかかっていないことになります。

 2013年のデータで、2位は腰痛症(636万人)、3位は歯の病気(608万人)、4位は僅差で目の病気(607万人)。以下、脂質異常症、糖尿病、肩こり症、関節症、アレルギー性鼻炎などが続いています。命にかかわる重病患者は、実はあまり多くはいないのです。

長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

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