片耳が聞こえなくなった…急性難聴は重大病の危険信号だ

初動が肝心/(C)日刊ゲンダイ

■上咽頭がん、脳腫瘍の可能性も

 外リンパ瘻も、急な難聴を引き起こす。重い物を持ち上げる、鼻を強くかむ、スキューバダイビングで海に潜るなどした際、中耳圧や脳脊髄圧が急激に上昇し、外リンパ液が内耳から鼓膜腔に漏れて平衡感覚や聴力に障害が起こる。

「外リンパ液が漏れ出た直後から強い回転性のめまいが起こり、難聴や耳鳴りも伴います。仮に海中でめまいが起こったら、そのまま溺れてしまうケースも考えられるので非常に危険です。とりわけ中高年は若い頃よりも外圧による影響を受けやすく、発生率も高いので要注意です」

 治療は安静にして自然閉鎖を待つのが一般的だが、効果がない場合は外リンパ瘻の閉鎖手術を行う。

 急な難聴を引き起こす疾患で、いちばん危険なものは聴神経腫瘍だ。

「これは、脳腫瘍の中で最も頻度が高いものです。耳から得た情報を脳に送る内耳の蝸牛神経と、平衡感覚をつかさどる前庭神経という2種類の神経にできた腫瘍が圧迫、破壊し、難聴や耳鳴りが起こります。片耳が聞こえなくなったのに放置すれば、最悪の場合、腫瘍が増大して脳の組織が破壊され、命の危険を伴うケースもあります」

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