年末年始が見極めるチャンス 老親の認知症「15の兆候」

写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
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 親と接する時間が長い年末年始は、認知症のサインをチェックするいい機会だ。たとえ同居していても、仕事をしている日中に親が何をしているのかは分からない。まして離れて暮らしていればなおさらで、現在の状態なんてほとんど知らないだろう。認知症に関する著書が多数ある「眞田クリニック」の眞田祥一院長に話を聞いた。

「年を取ればだれでも脳の機能が低下してきます。それによって、“これまでにはなかった現象”がいろいろ出てきますが、大きく分けて、老化現象と病的な現象に分けられます。アルツハイマーをはじめとする認知症は後者。よく知られる“物忘れ”以外に、判断力、思考力、感情表現などの低下が見られます」

■最初に影響が出るのは嗅覚

 老化現象の物忘れか、それとも認知症による物忘れか。たとえば、高倉健の写真を見て、「ほら、この人が出てた、あのハンカチが出てくる映画、ほら、あの……」というように名前が出てこないケースはよくある老化現象。しかし、高倉健を知らないはずがないのに、「これ、だれだっけ? 近所の人だっけ?」となるのは認知症が疑われる。

「これまで家事をきちんとこなしていた母親が、部屋の掃除をきちんとしていない、洗濯物がたためていない、下駄箱の靴がきれいに並べられていない、上がりかまちにある敷布が汚いままといったことがあれば、認知症のせいかもしれません。ただし、多少部屋が汚れている程度なら、老化で感覚や手足の動きが鈍り、単に若いころと同じようにできていないことも考えられます」

 五感の中で、一番最初に影響が出やすいのは嗅覚だといわれている。

「認知症でよくあるのは、生ゴミのニオイなどに無頓着になること。玄関のドアを開けて“なんか臭う”と思っていたら実は……というケースもあります」

 寒いのに妙に薄着。暑いのにやたらと着込んでいる。これも認知症による判断能力の低下が原因かもしれない。

「認知症の初期のサインはさりげないものが多く、気づきにくいのです。普段離れて暮らしている老親なら、久しぶりに子供や孫と会うため脳の働きが“持ち直し”て、サインが出にくくなっていることもある。それでも注意深く見ていれば、分かることが出てきます」

 よくあるサインは下記の通り。

1.知っているはずの物・事柄の名前が出てこない
2.食事をしたことすら忘れている
3.きれい好きだったのに部屋が雑然としている
4.ありえない場所にありえないものが置かれていた(冷蔵庫にテレビのリモコンなど)
5.部屋が臭い
6.ちぐはぐな服装をしていた(寒いのに超薄着)
7.身なりに構わなくなっていた
8.食事の味付けが変わっていた(極端に味付けが薄い/濃いなど)
9.久しぶりに会ったのに、仕事や孫のことなど聞きもしない(無関心)
10.疑り深くなっていた
11.怒りっぽくなっていた
12.毎日使っている電気スイッチの使い方が分からなくなっていた
13.コンセントが入っていないことに気づかず、壊れたと怒り出した
14.漢和辞典と国語辞典の違いが分からない
15.慣れた道なのに迷う

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